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いっしょに育て隊

第16回
調布若竹幼稚園 園長・金子剛さん
今、幼稚園としてできること、やりたいこと(後編)

2015年11月13日 公開

調布若竹幼稚園の金子剛さんへのインタビュー前編では、あえて給食なし、延長保育なしという体制を続けている理由について熱く語っていただきました。後編では、金子さんご自身の子育てについても話していただきました。

 

 父親としては反省するところも

 

コサイト ご自身の幼稚園を「利便性が悪い」とおっしゃるなんて…潔ささえ感じます。(詳しくはインタビュー前編をお読みください)

 

 

金子 親子の時間を大切にしてもらいたい、幼稚園での3年間はそういう時期として大切に過ごしていただきたいという思いがあるからです。僕も振り返ってみれば「こうしておけばよかった」ということが多くて。

 

コサイト といいますと…?

 

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金子 子どもが小さいときに、もっと関わりを持っておけばよかったと…遊んであげたり、家族でいろいろなところに出かけたり…。

 

コサイト お仕事で忙しかったのでは…。

 

金子 地域の付き合いがあったこともありますが…少し自分勝手な父親だったかなと思います。成長すると子ども自身の世界も広がりますから、親子で関わる時間は減ります。関係性も難しくなってきますので、それまでの親子関係が試されているような感じがしています。「なんであの時、優しくなれなかったのか」「自分勝手な行動をしてしまったな」と、反省するところはありますね。家内に忠告されていたにも関わらず…まあ振り返ったときに、何も反省がないという親はいないとも思いますけれど。

 

コサイト そうですよ(つい、実感こもる)、完璧な親なんていないと思います!

 

金子 でもやっぱり、手間がかかる時期だからこそ幼い時期に、もう少し手をかけてあげていたらと思うのです。幼稚園での3年間は、そういう意味で「黄金時間」と言えるのではないでしょうか。

 

コサイト 楽しいときもありますが、やはりついイライラしてしまうこともあります。

 

金子 特に気持にゆとりの無い時にはイライラしてしまうこともありますよね。子どもは時に想定外の行動をすることもあり、ものすごく手間がかかりますから。でも、だからこそ親としても育つところも多いのではないでしょうか。私自身、こういう仕事(幼稚園経営)をしていると、家庭ではさぞかしいいお父さんというイメージを持たれがちですが、実際はいろいろ悩んだり苦労しているんですよ。情けない姿を見せてしまったこともありますし(笑)。自分の子どもに成長させられた部分も少なくないですね。

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▲工作コーナーで作品づくりに熱中。

 

1022_153▲階段の踊り場の壁がギャラリーに。力作ぞろい!

 

「生き生きしている幼稚園」運営の秘訣

 

コサイト ところで、この幼稚園ではお父さんたちはどんなムードなのでしょう?

 

金子 みなさんとても協力的です。お声掛けすると快くお手伝いしてくださったりと、自主的に参加してくださる方も多いです。中にはお母さんの代わりに個人面談に来てくださるお父さんもいらっしゃいます。そしてこの園の「ちょっと泥臭い感じ」を理解し、期待してくださっているのが感じられます。

 

コサイト それはうれしいですね。

 

金子 保護者の皆さんのご理解、ご協力があるので、職員のモチベーションが上がるんですよ。現場の先生にはできるだけ過度なストレスを感じず、やりがいを感じながら元気でいてほしいと思っています。現場の先生が生き生きしてこそ、幼稚園が生き生きとするんです。

 

コサイト 保護者のみなさんのムード、園長先生である金子さんの姿勢がそうさせているのですね。

 

金子 まあ僕が勝手にそう思っているだけかもしれませんが(笑)。

 

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▲この日は年に一度の柿もぎDAY。わくわくしながら柿を落としてもらうのを待ちます。

 

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▲今年は豊作の年だそうで、柿は在園児全員に配られました。

地域に向けた活動も充実

 

コサイト ところで調布若竹幼稚園では在園児の保護者だけでなく、地域で子育て中の人たちに向けて講演会やサークル活動を実施していますね。

 

金子 はい、今年は専門家の先生をお招きして「いま子育てで一番大切なこと ~子育ては下手でいい~」というテーマで講演していただきました。就園前、3歳ぐらいまでの子育てをしている方が実はいちばん大変なのだとその先生もおっしゃっていました。そういう人たちが話を聞いて、少しでも気持ちが楽になっていただけたらいいなと。

 

コサイト 私も長女が幼稚園に入るまでは、本当に孤独で苦しい子育てでしたから、今のお話をうかがって嬉しくなりました。

 

金子 今年初めて、親子のふれあいの場と就園前のお母様同士の関わりの場の提供を目的として未就園児親子が参加する「親子ふれあいサークル」も実施しました。5月から7月まで4回連続で行い、15組の親子が参加してくださいました。初めて試みなので、内容も手探りだったのですけれど、回を重ね、反省を繰り返し少しずつ作り上げていきました。
実は、このサークルは職員から「こういうものをやってみたい」と提案があり、実現したものです。

 

コサイト モチベーションの高さを感じるエピソードですね!

 

金子 私が何もかも決めるのではなく、できるだけ職員みんなで考える機会を設けたいと思っています。

 

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コサイト では最後に一言。金子さんの野望などがあればぜひ!

 

金子 いや、とくに何かを大きく変えたいという思いはありません(笑)。僕はできるだけこの幼稚園の文化を守っていきたい。地域にはいろんな幼稚園があっていい。選べることが大切であり、そのなかの1つとして残っていきたいですね。

 

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インタビューが終わるころ、お迎えのお母さんたちと元気に走り回る子どもたちの声がいっそうにぎやかに聞こえてきました。子育ては大変だけれど、地域には熱い思いで、そしていろいろな形で子育てを応援している人たちがいる…そんな心強さを感じ、ちょっぴりウキウキしながら幼稚園を後にしました。

(取材:編集部 撮影:赤石雅紀)

執筆者

金子剛(かねこ つよし) 調布若竹幼稚園園長。調布生まれ調布育ち。消防団や調布市青年会議所を始めとする地域の活動にも積極的に参加してきた。プライベートでは高校生、中学生の3人の子どもを持つ父親として、思春期の子育てに奮闘中。

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