調布子育て応援サイト コサイト

調布市の行政、民間の子育て情報が一つに。 子育て中の人とまちをつなぐポータルサイト

いっしょに育て隊

第49回
森下唯さん(ピアニスト・調布国際音楽祭アソシエイト・プロデューサー)
調布のまちで、楽しく豊かな音楽体験を(前編)

2019年5月31日 公開

調布のまちの、いたるところに音楽があふれる「調布国際音楽祭」は今年で7年目。今年(2019年)は6月23日(日)から30日(日)まで行われます。

コサイト編集部も取材した記者会見では、音楽祭のエグゼクティブ・プロデューサーの鈴木優人さんと、アソシエイト・プロデューサーの森下唯さんが登壇。音楽祭への意気込みを語っておられました。音楽祭のプログラムはバラエティに富んでいて、子どもたちが楽しめる「キッズ公演」が充実しているのも特徴の一つ。

それにしても、調布でこれだけ大規模な音楽祭を企画した意図はどのようなものなのでしょう。

そこで今回は、アソシエイト・プロデューサーの森下唯さんに調布との関わりや、子どもたちや音楽祭への思いについてお話をうかがいました。

 

「ピアニート公爵」は調布育ち

 

ピアニストの森下唯さんのことは、動画サイトで一躍有名になったピアニート公爵という名前でご存知の方も多いかもしれません。

 

調布市内の幼稚園、小学校を経て筑波大付属駒場中・高等学校へ進学。東京芸術大学卒業、および同大学大学院を修了。調布市文化振興財団(現・調布市文化・コミュニティ振興財団)が主催した「調布の星」シリーズ(調布にゆかりのある若き音楽家にフォーカスしたクラシックコンサート)の第1回企画として、調布市文化会館たづくりのくすのきホールでソロ・リサイタルを行いました。その後はクラシックはもちろん、幅広いジャンルで活躍されています。まさに調布の星!

 

コサイト 森下さんは調布育ちなのですよね!

 

森下 はい、物心ついたときから調布にいます。これまで3回ほど引っ越しをしているのですが、全部同じ町内だという…(笑)。

 

コサイト 移動距離短めですね(笑)。

 

森下 もともと、外に出ていくタイプではないので。もちろん地元への愛着はあります。たとえば、調布は自然環境がいいですよね。僕が子どもの頃は、カニ山には本当にカニがいたのではなかったかなあ。

 

コサイト 調布育ちの森下さんがずっと慣れ親しんできた地元のために「音楽祭を開催しよう」ということになったわけですよね。

 

森下 はい、調布のために何かしたいという思いがありました。調布国際音楽祭を主催している「調布市文化・コミュニティ振興財団」とは、「調布の星」シリーズで初回のリサイタルをとオファーを受けたときからのご縁もありますし。

 

コサイト 音楽家としてこれからという時期に、声がかかったのですか。

 

森下 はい、本当にありがたいことでした。

 

コサイト 財団さんもお目が高い!今や大活躍ですものね。

 

運命の出会いは「幼稚園」と「塾」で

 

コサイト ピアノを始めたのは、何歳からですか。

 

森下 たぶん4歳か5歳ごろだったかと。

 

コサイト ピアニストとしてご活躍の方といえば、3歳ごろから始めていそうなイメージがあるので、ちょっと意外です。

 

森下 僕の場合、近所のお姉さんの弾いていたピアノにあこがれていたようで、幼稚園の習い事のひとつとしてあった「ピアノ」に応募して当たったんですね。

 

コサイト そんな感じだったんですか?

 

森下 とてもいい先生に習うことができたのが、始まりです。

 

コサイト たまたま幼稚園にピアノ教室があってよかった〜。

 

森下 それで弾いてみたら楽しくて。小学5年生の頃には、ショパンのエチュードを弾けるぐらいまでにはなっていました。でも中学受験をすることになったので、1年ぐらいは離れていた時期もあるんです。

 

コサイト その頃は音楽の道へ進もうとは…?

 

森下 小学校の卒業アルバムみたいなものにはピアニストと書いたりしてましたけど、あんまり本気ではなかったように思います。調布にある某進学塾に通っていました。僕は塾を楽しんでいたというか…塾の先生の教え方がとても上手だったし、初めて知ることをたくさん教えてもらえたし。

 

コサイト 勉強が楽しいなんて、羨ましいです。

 

森下 その塾で出会ったのが、音楽祭のエグゼクティブ・プロデューサーでもある鈴木優人君なんです。

 

コサイト ええ〜!お二人の「運命の出会い」は調布の中学受験塾?

 

森下 そうなんです。優人君も調布育ちで、同じように中学受験を目指していました。進学した中学は別だったので、その後またしばらく会わない時期が続きましたが。

 

コサイト 再会するわけですよね。

 

森下 僕は東京芸術大学を受験すると決め、その準備のために受験用のソルフェージュを習いにとある教室へ通い始めたのです。そこに優人君もいたのです。

 

コサイト わ〜。

 

森下 それぞれ進学校に通っていましたから、お互いに「勉強しているんだろう」と思っていました。だから「あれ?」っていう感じでしたね。

 

 

コサイト 森下さんの学校でも、芸大を受験するのは異色なことだったのでしょうか。

 

森下 半分ぐらいが東大に入るような学校でしたからね。僕は隅っこにいるタイプなんです。

 

コサイト 周囲に流されない、とも言えるのでは。でも、もしかして音楽を目指していなかったら…

 

森下 生物はわりと好きでしたけれど。父がSF作家なので、そういう感じのものが好きでした。

 

コサイト お父さまの影響もあって本もお好きなのでは。

 

森下 子どものころはよく読みました。市内のある図書館分館にはずいぶんと通いましたよ。それこそ片っ端から借りて読んでいましたね。

 

音楽愛好家ではない?

 

コサイト 森下さんのピアノ演奏は、本当に素晴らしくて…アルカンの曲の演奏はもちろん、ピアニート公爵としての演奏(クラシックに限らず、ゲームなどの曲も編曲して演奏)も感動的です。

 

森下 ありがとうございます。

 

コサイト 素人が言うのも失礼なのですが…きっと本当に音楽がお好きなのではないかと。

 

森下 あ、いや。僕はそこまで音楽が好きなのかと言われると、根っからの音楽愛好家とはおこがましくて言えないような……。音楽に限らずどんなジャンルにも突出して好きなものとそれ以外がある、みたいな感じで、ジャンルそのものからは距離を取ってしまうところがあるんです。

 

コサイト そうなのですね。だとしたら、そういう志向性が、決してメジャーとは言えないアルカンという作曲家への思いにもつながっているとか?

 

森下 彼の作曲家としてのスタンスに、親しみを感じているのは確かです。たとえば彼はユダヤ教信者で、当時、周囲とは若干違う文化を持っていたというところなど。

 

コサイト アルカンさんって、とても評価が高い一方で、なぜかあまり知られていないのですよね。そんなアルカンの曲を積極的に弾いている森下さんですが、このたびの調布国際音楽祭でも演奏の機会がありますね。

 

森下 6月27日(木)の正午からくすのきホールで開催される「まさト〜ク コンサート」で弾く予定です。

 

コサイト ぜひ、聴きに行かせていただきます!

 

調布国際音楽祭では、オープニングコンサートにジャズ・ピアニストの山下洋輔さんも登場します。夏だ!祭りだ!!と題して開催されるコンサートは、とにかくみんなで楽しみたい!ハードルが高いと思われがちなクラシックコンサートのイメージを払拭するのだ、という思いがこめられていて、なんと3歳から入場OK!チケットはワンコインの500円!!

 

子ども連れだからこそ、暮らしているまちで「本物」の音楽を楽しめるのは最高にありがたいし、嬉しいことですね。

インタビュー後編では、子どもたちにクラシック音楽を体験してほしいという思いを更に深掘りします。お楽しみに!(撮影 楠聖子 取材・文 竹中裕子)

 

 

執筆者

森下唯(もりした・ゆい) 東京芸術大学卒業、同大学大学院修了。2004年 第2回東京音楽コンクール第2位。2006年東京芸術大学大学院修了の際、演奏優秀者によるベーゼンドルファー・ジョイントリサイタルに選ばれた。ソロリサイタル、オーケストラとの共演のほか、スタジオ・ミュージャンとしても多くのレコーディングに参加。

ページトップへ