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インクルーシブな「多感覚演劇」。その豊かな世界

2019年12月29日 公開

調布市内に拠点を置く「特定非営利活動法人シアタープランニングネットワーク」が主催する「ホスピタルシアタープロジェクト2019」による公演「アラビアの空のかなた」が、12月23日に千歳烏山駅近くにあるコミュニティカフェ「ななつのこ」で上演されました。

ホスピタルシアタープロジェクトが行っているプログラムは「多感覚演劇」と呼ばれ、五感に訴える要素が盛り込まれた参加型の演劇。障害の有無に関わらず、そしてたとえば医療的ケアが必要な子どもと、少し元気すぎる子ども(医療的ケア児のきょうだいなども含まれます)もともに鑑賞できるというものです。

「教育でも福祉でもなく、その瞬間を楽しみ、喜びを分かち合う」を目的としたというプログラムとはいったいどのようなものなのか、コサイト編集部が取材しました。

 

会場はステージと観客席は混ざり合うように設計されていて、集まった参加者は思い思いの場所に荷物を置いて開演を待ちます。見回すと演目にふさわしい「セット」が各所に設置され、カフェ全体がどこか「アラビア」を想起させる空間に。開演までのひとときも実は子どもたちが雰囲気になじむための時間でもありました。

 

開演前に渡された「地図」と万華鏡。定時になるとごく自然な流れでお芝居の世界にいざなわれます。「地図」はいわばお芝居の筋書きが描かれていて、これから何が起こるのかが少し予測できるのも、感覚が過敏な子どもたちにとっては安心できる材料かもしれません。

作品はシンプルなセリフと生演奏の音楽で構成されていますが、上演中はたとえば紙吹雪が降ってきたり、ブクブクと出てくる「泡」の様子に驚いたり、さわって感触を楽しんだり、「らくだ」が登場して観客一人ひとりから「食べ物」をもらったりと感性をくすぐられるようなアプローチが散りばめられています。さまざまな光や音、ときには風を感じながらのストーリー展開。中には演者からのアプローチが「苦手」で隠れてしまったり、演者さんの間に入っておしゃべりを始めたりする子もいましたが、そんなイレギュラーも含めてひとつの作品に。

プロデューサーの中山夏織さんは「ここでは『ダメ』という言葉は決して使いません。使ってしまったらその瞬間にその子の居場所は無くなりますから」と話します。実際、この日に子どもたちは自分の感じるままに動き、一緒に参加していた保護者の方もまた、どこか心洗われるひとときになっているようでした。

 

今年度の上演はこの日が最後とのこと。次年度以降の上演は未定ですが、決まり次第情報が発信されますので気になる方はぜひチェックを。

 

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