緊急事態宣言が解除された後の生活について、新型コロナウイルス感染拡大を防止するために、さまざまな状況において「行動変容(生活習慣を変える)」を起こす必要があると言われています。
この先幼稚園や保育園の休園が解除となった際、私達はどのような考え方を元に子どもを通園させればよいのでしょう。「幼稚園や保育園における行動変容」のあり方について、調布市医師会の貫井清孝先生(ぬきいこどもクリニック院長)からメッセージをいただきました。
「新型コロナウイルスかそうでないか」の判別は難しい
「定期的に健康診断を行うために幼稚園・保育園を訪問しますが、流行のピークだった、この4月、5月でも一部の保育園では、保護者の仕事の事情によりやむを得ず、0歳、1歳、2歳の子どもたちはマスクをつけずに(つけることができずに)集団生活を送っています。まだ幼い子どもたちですから、給食も子ども同士の間隔を空けて同じ方向を向いて食べることなどは無理なのです。すなわち登園したら、すべての子どもたち同士は濃厚に接触せざるを得ないと考えられます」
「今回の新型コロナウイルスは子どもたちが罹患しても症状が重篤にならないと言われています。もともとコロナウイルスの仲間は冬場に『風邪』の原因となるウイルスの30%を占めています。新型コロナウイルスにかかっても最初は微熱、咳、咽の痛み、鼻水、嘔吐、下痢から始まり、いわゆる『風邪』と見分けがつきません。小児の場合、そのまま治ってしまう場合が多いといいます。ですので『風邪かな』と思ったら『新型コロナの可能性は否定できない』と考えざるを得ないのです。どの程度、感染が広まっているのかという判断はできません」
風邪のひきはじめこそ、しっかり休もう
「これまで『インフルエンザ』や『みずぼうそう』などにかかった時は、決められた日数の間しっかり園を休むお約束が守られてきました。しかし『風邪』の時は『風邪くらいで園は休めない』『風邪くらいで会社は休めない』と言うことがまかり通っていました」
「今回の新型コロナウイルスの流行を繰り返さないための行動変容のひとつに、『発熱、咳などの風邪症状に気がついたら、会社や園を休んで家で安静にして様子をみる』ことが挙げられます。また発症の初期にまわりへの感染力が一番強いことが判ってきました。『重くなったら休む』ではなく『軽いうちに休む』のが重要です」
「どうか皆さん、子どもたちが通っている園が感染のクラスターにならないように、『風邪をひいたら休む』ことを習慣にしてください」
みなさんそれぞれ置かれた状況が異なるため、すぐに行動変容を起こすことは簡単ではないかもしれません。
しかしながら、「変えていきたい」と意識することがまずは大切な第一歩。感染を広げないためにもお互い協力し、思い合いながら、この局面を乗り越えていきたいですね。