調布にゆかりのある3人の作家による展覧会「調布を描くイラスト展 マチトリドリ」。去る9月2日の午前中に行われた、作家さんたちによるトークイベント(会場:たづくり8階映像シアター)に行ってきました。
トークメンバーは、コサイトのイラストも担当している、雑誌などでも活躍中の黒木ユタカさん、瑞々しくしかも精緻なタッチで描かれた水彩画が圧巻の新目惠さん、トリエ京王調布の壁画(街の絵)などで多くの方が作品を目にしているであろう、味わい深い人物や街を線画で描くMariya Suzukiさん。そしてモデレーターは、コサイト編集部でも主に印刷物のデザインでお世話になっている、調布市在住の古田裕さんです。マチトリドリのポスターやフライヤーも古田さんがデザインしています。
作家さん3人は、それぞれがとても個性的。作風もまったく異なります。だからこそ楽しいエピソードが次々と。作品やお仕事の紹介、アトリエの様子などをスライドで楽しく見ながらクロストークが進みます。
街の絵を描くことが多い黒木さんは「街は人が住んでいる生き物みたいなもの。建物の絵を描くときにちょっと室外機を加えるだけでそこに人のにおいがするようになる。この道を歩いてあっちのスーパーで買い物をして…とストーリーを考えながら描いています」と語ります。
コサイトをスクロールして一番下にあるイラストも、そんなストーリーがいくつも考えられそうな楽しいもになっていますので、ぜひじっくりご覧ください。
新目さんは「本の装画を依頼されることも多い」とのこと。直木賞を受賞した荻野浩さんの書籍など数多くの作品に携わっているという活躍ぶりです。
Mariyaさんは「人を描くのが好きです。その人から滲み出てくる味わい深さというか…。いつもスケッチブックを持ち歩いて、電車の中などでも描いたりしています」と話します。
調布の魅力についても、三人三様のお話を聞くことができました。
「のんびり歩きやすい街。(今は市外に住んでいるので)離れてみて初めてわかりました」(新目さん)
「ほどよく田舎なところですね。新宿から京王線に乗っていると調布から田舎になるんですよ。テンション上がりますよね!開発が進んでも古いものも残っているところもいいですね」(黒木さん)
「いろんな顔があるところ。緑が多かったり、川があったり、駅をちょっと離れるとゴチャゴチャしていたり。古いものが好きなので…。そうそう、調布では絵を描いていると声をかけられることがとても多くて、すごく嬉しかったですね」(Mariya さん)
コサイト編集部としても深いご縁のある方たちによる展覧会ということで、最後に一つ、質問をさせていただきました。
ーこの展覧会が決まったときの気持ちを教えてください!
古田さん「実は調布市文化・コミュニティ振興財団さんとお仕事での関わりの中で、調布にゆかりのある作家さんを知りませんか?と尋ねられたので、知り合いの黒木さんと新目さんを紹介したのが始まり…みたいです」
黒木さん「声をかけてもらってめちゃくちゃ嬉しかったです。ずっと調布に住んでいますし、何より調布が好きですから、もう光栄だなあと。感無量です、幸せです!」
新目さん「私も本当に光栄でした。こんな機会はもうないのではないかと思い、展示期間中絵を入れ替えたほどです」
Mariya さん「調布生まれでも育ちでもないのに『ゆかりのある』作家として声をかけていただき、本当に嬉しかったです。トリエ京王調布の壁画がきっかけですが…調布に住んでいる人たちは、私の絵を毎日のように見てくれているのかなと思うと…すごくしみました」
モデレーターの古田さんからは、実際に駅前を家族で歩いているときにトリエの壁面に絵を描いているMariyaさんを見かけたのだそう。「下書きもなく描いていて、すごいな〜と思ったんですよね」と地元住民ならではのエピソードも披露してくれました。
あっという間の90分。調布愛あふれる黒木さん、書籍の装画でも活躍している新目さん、そして味わい深い人物画が魅力的すぎるMariya Suzukiさん。それぞれの人柄がにじみ出る、何ともよい空気を感じられたひとときでした。
展示は24日(日)まで。まだ見ていないという方はぜひ、3人の個性あふれる世界をぜひ楽しんでみてはいかがでしょう。