国領にある調布市立第六中学校では、2024年度から生徒たちの多様な学びの場や機会をつくる「まなびの森」プロジェクトを実施しています。その拠点の一つとなるのが、学校内にある、木のぬくもりあふれる「学びの森 MORIルーム」。
かつて倉庫のように使われていたスペースを、森のような空間へと改装。2024年2月から手を加え、ステキなテーブルと椅子、観葉植物やグランドピアノも置かれました。5月に行われたこけら落としでは、生徒と教職員によるピアノコンサートを開催し大盛況だったそう。
MORIルームの魅力は、木のぬくもり、手触り、香りを感じられるところ。まさに「森」のようです。
「授業で使うのはもちろん、給食後の昼休みには地域の方たちが提供するさまざまなプログラムを行ってもらう機会も増え、生徒たちはとても気に入っているようです」(佐伯あつ子校長)
地域の人たちとの交流も
取材した日の昼休みには、市民プラザあくろすのスタッフでアメリカ人のロバートさんによるプログラム(自由参加)が行われていました。13時10分の開始時刻には、MORIルームは生徒たちでいっぱいに。日本の「漫画」とアメリカの「コミック」の違いについて、英語と日本語を交えて語ります。生徒たちも意欲的に、それは楽しそうに参加しています。文化の違いを楽しく学んだ、活気あふれるあっという間の20分でした。
「授業でも積極的に利用しています。六中では子どもに委ねる学習を取り入れているのですが、授業の中でたとえば『この20分間は好きな場所で、好きに考えていいよ』というときに、MORIルームを使用する場面もあります。一時間まるごとMORIルームで授業をすることもありますし、使い方はさまざま。ここでは生徒たちが、様々なメンバーと好きな場所に座って学習できるのも魅力だと感じています」(佐伯先生)
学校を「学びたい」と思える空間に
佐伯先生は、この部屋ができて、子どもたちの学びにとって空間がいかに大事かということを、あらためて感じていると話します。
「限られた予算ではありますが、子どもたちが『学びたいな』と思えるような環境を、これからも整えていきたいと考えています。また、PTAはもちろん地域の皆さんたちにもたくさん関わってくださるようになりました。皆さんとともに学び合える場、いずれは地域の学び舎みたいになっていったらいいなとも思っています」
六中の「まなびの森プロジェクト」はMORIルームの開設をきっかけに、生徒たちの自主的な活動にも広がり、大人数が集まりそうな企画の場合は体育館なども活用。生徒たちの中には「こんなことをやってみたい」「もっと学びたい」という気持ちが、芽生えつつあるようです。