調布市子ども・若者総合支援事業「ここあ」では、家庭の事情などにより高校進学をあきらめてしまうことがないよう、中学生を対象とした学習支援事業を行っています。「ここあ」の学習支援は、単に学力を伸ばすだけにとどまらない、一人ひとりに向き合い、ときには相談事業とも連携し包括的なサポートにもつながっているという点で、他ではなかなか見られない稀有な事業として注目されています。
では、学習支援を担っている大学生や大学院生等のみなさんは、ボランティアに参加してどのようなことを感じているのでしょう?実際に活動している二人の学生さんに話を伺いました。

R.Iさん(ボランティア歴 5年)
M.Tさん(ボランティア歴 3年)
―「ここあ」で学習支援ボランティアを始めたきっかけを教えて下さい。
M.Tさん 私は高校のころから学習支援や教育格差というテーマに興味があり、実際に小学校で学習支援の活動をしていました。実はそのときに「ここあ」のことを知り、見学させてもらっています。大学には高校時代の活動をまとめた論文で入学したので、当初からこの分野で頑張るという気持ちで、1年生の秋からここあのボランティアに参加しました。
R.Iさん 大学に「ここあ」の学習支援コーディネーターさんが学生ボランティアの説明に来てくれたのが始めるきっかけです。実は、もともと学習支援に関心がありまして、受験勉強を頑張った分を子どもたちに還元したい、「教えたい」という気持ちが強かったということもあります。
それまでの考えが覆された「ここあ」の学習支援
―実際にボランティアを始めてみて、どんなことを感じましたか?
R.Iさん 僕自身は、体験的に「勉強はやれば伸びるものだ」と考えていました。ところが「ここあ」で活動するうちに、ここに来ている中学生の中には「勉強の初歩からつまずいている子が多い」と感じるようになりました。勉強を教えるよりは、勉強のやり方を教える必要があると。
M.Tさん 私は入って2回目の学習支援のときに担当した中学生が、緊張したのかフリーズしてしまい戸惑いました。いろいろ言葉をかけてみてもうまくいかず、結局、その日は職員さんに助けを求めることになりました。それからは、話題にできそうなことを準備したり、イメトレしたり、自分の失敗談なども思い出しておいたりして、少しでもコミュニケーションが取れるよう努力するようになりました。
いろいろな学生が集う「楽しさ」は格別
―想像とは違う現実に直面して大変でしたね。それでも続けている理由は?
R.Iさん 理由は2つあります。1つ目は「いろんな中学生がいると知ることができた、もっと知りたい」と思ったこと。目の前の中学生が何につまずいて、どんな経験をしてきたのかを知ることで、どう対応していくかを考えることにやりがいを感じています。2つ目は、ここのボランティアにはいろいろ(専門が違う、経験も多様)な大学生が集っていること。学生同士が話し合う機会も多くて、それがすごく楽しいです。
M.Tさん 私は教育学部で学んでいて教育分野の専門知識もありますが、ここはそうではない大学生が集まっているのが魅力だと思います。自分が当たり前だと思っていることに対して「なんで?」と問いかけてくれるのも考えるきっかけになるのでありがたいですし。中学生への教え方も学生それぞれで、とくにR.Iさんは教え方が斬新というか…個性的で(笑)。
R.Iさん 斬新…(笑)。僕はその子その子の状況をみて、試行錯誤を重ねながらやっています。
M.Tさん 私が大学で学んできたことからは出てこないような発想があるので、とても刺激になります。それから、ここあの学習支援ボランティアが有償(1時間あたりの報酬が決まっています)だということも、継続できている理由だと思います。ここは1日3時間、担当する中学生も毎回変わりますので、自分にできることには限りがあります。それはつまり、ボランティアが無理をしなくていい、身を削らずに続けることができるということでもあると思うのです(※)。
※ご自身が無償ボランティアも経験したことがあり、その上で感じることだそうです。
たくさんの気づき、想像以上に広がる世界
―「ここあ」で学習支援ボランティアをしてよかったことは?
M.Tさん 私は「ここあ」でのボランティアを通して、たとえば学校でうまくいかない、経済的に厳しいという背景はその子の全てではないと気づくことができました。一人の他者として理解することによって、中学生との時間を楽しめるようになったと思います。
R.Iさん 僕は、それまで興味がなかった社会福祉の世界に関心を持つようになりました。福祉の世界は見ようとしなければ見えない世界。今、それを見ているような気がしていて、想像以上に世界が広がったと実感しています。
「ここあ」は相互作用を起こす場
―「ここあ」の学習支援ボランティア多くの学生に体験してもらいたいですね。
R.Iさん ここには大学生の仲間がたくさんいて、とても楽しいですからぜひ!
M.Tさん みんな優しくてあたたかい!ここでは「学生ボランティアが中学生のいいところを見つけよう、見つけたら伝えよう」という姿勢が根付いていて、それのムードは大学生ボランティア同士の間にも流れていると思います。
R.Iさん 人それぞれに得意なこと、すごい面がありますから、それを探していくことが大事だと思います。
M.Tさん 数学は苦手だけど、その分おしゃべりが得意!とか(笑)「ここあ」は何かを授ける場ではなく、いろいろな人が出会い、相互作用を起こす場だと思います。そんな豊かさがあるから持続していけるモデルになっているのだろうと感じています。
R.Iさん ボランティアというと、なんだかとても大層なことのようにも聞こえるかもしれません。でも、自分にできることが少しでもあれば、思い切って挑戦してみてもいいと思います。
ここあでは学習支援ボランティア(大学生・大学院生)を随時募集しています。
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学生ボランティアに聞く vol.2 「ここあ」の学習支援 につづく





