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いっしょに育て隊

第8回
ゲゲゲの町の助産師会のみなさん
出産してもずっと安心できる街に(後編)

2015年7月10日 公開

ゲゲゲの町の助産師会の活動の原点については、前編でたっぷり語っていただきました。代表の田中佳子さんのバイタリティ、棚木めぐみさんの深い愛…中心となって活動している助産師さんたちの熱い想いは次々と「伝染」し、今や23人もの助産師さんたちが集まる大所帯に。

7月5日には、助産師会主催の映画自主上映会(河瀬直美監督「玄牝(げんぴん)」)および講演会にもたくさんの参加者を集め、ますます勢いづいています。

 

後編では、活動を支えている助産師会のメンバーにもお話を伺いました。

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マザリーズ助産院でスカウト?

 

まずは吉牟田あいさん。1歳5カ月のお子さんを連れて活動に参加することも多いのだそう。

 

コサイト 吉牟田さんはいつごろから助産師会に参加したのですか?

 

吉牟田 1年ぐらい前だと思います。夫の転勤で調布に引っ越して来て、マザリーズ助産院で出産したのがきっかけなんです。そこで棚木さんと出会って…

 

棚木 助産師会のメンバーで3人ほど、うちで出産していますけれど、みんな助産師会に入っているわよ(笑)

 

コサイト 力強いお誘いがあったのですね(笑)

 

吉牟田 「実は私は助産師なんです」と話したら、「それなら入らない?」って(笑)

 

コサイト に、逃げられませんね〜。入ってみてどうですか?

 

吉牟田 助産師が地域でこんなに活動しているというところに驚きました。以前は病院で働いていましたが、院内の助産師という感覚しか持っていなかったのでとても新鮮でしたね。そして活動はとても楽しいです。妊娠中は入院していたので地域で友だちを作ることができませんでしたから、こうして出て来られる環境があるだけでも、本当にありがたいと思っています。

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▲「いつか助産院を開きたいと思っています」と吉牟田さん(左)

 

棚木 吉牟田さんは、いつもお子さん連れで参加しているんですよ。

 

吉牟田 今日はたまたま一人で来ていますが、いつも子連れで活動しています。助産師会は、それができる場だと思います。

 

コサイト 調布に引っ越してきて、棚木さんのところでお産して、すぐに地域に仲間ができて…本当にラッキーでしたね!

髙橋孝予さんも、わりと最近のご参加だそうですね。

 

髙橋 昨年12月の「マザーリングフェスタ」(ゲゲゲの町の助産師会主催)がきっかけです。私は病院、助産院で助産師をしながらNPO法人の運営にも関わっています。かねてから地域と病院が完全に別れていることに違和感を感じてきました。あらためて大学院で母乳育児の研究をし、妊娠中…できればもっと前から産後の不安な時期、卒乳にかけて継続した支援が必要だと確信したのです。でも病院にいると地域で母子がどう過ごしているのかが見えてきません。だから、地域に出ていかなければ、と助産師会に入りました。

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▲助産師としての活動に誇りを感じている、という髙橋さん。

 

コサイト 病院にいながらそこまで感じていたなんて、すごいですね。

 

髙橋 私は調布市で生まれ育っていながら、調布市の助産師のことはもちろん、地域のことを何も知りませんでした。そんな折、職場の先輩が助産師会に入ると聞いてすかさず私も入会したというわけです。

 

コサイト 入ってみたら、熱い人たちが集まっていたと。

 

髙橋 すごい団体です。入ってみたら、単なる保健医療者の集団ではなく、地域を良くしようと活動している人たちともしっかり繋がっていました。元気な皆さんと出会って、あらためて助産師として働いていることに誇りを感じています。本当に入ってよかった。地元で活動できることは素晴しいと思っています。

 

コサイト 地域で誇りをもって活動することができるなんて、いいですね。

 

自分の出産経験が「ママたちを支える活動」の原動力に

 

コサイト さて、続いて小久保恵子さんにお話をうかがいます。

 

棚木 小久保さんは、オランダからやって来た助産師さんなんですよ〜。 

 

コサイト えええ? お、オランダの?

 

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▲オランダのお産事情に詳しいという小久保さん(中央)。

 

小久保 いえいえ(笑)、オランダには夫の仕事で4年ほど滞在していただけですよ。ボランティアで現地の日本人に母親学級を開いたり、お産のときに病院へ同行して呼吸法などをサポートしたりしていました。仕事としては、日本人学校の保健室で働いていたのですけれど。

 

棚木 オランダのお産事情を、いろいろ聞かせていただいています。

 

コサイト 小久保さんは、出産もオランダで…?

 

小久保 いえ、その後帰国して茨城県で出産しました。転勤族ということもあり、地域に知り合いはいません。生まれた子どもはけっこう重症なアレルギーで下痢も続いていたので週に何回も病院に行ったりして、とても大変でした。孤独で不安で…子どもが1歳まではすごく不安定でしたね。そんな経験があるから、私はママたちの力になりたいと思っているんです。今、調布での活動でその思いが少し実現できているような気がしています。

 

コサイト 十分実現できていると思います!さて、そして最後に立石由香麗さん。

 

立石 私は、東日本大震災のときに味の素スタジアムのボランティアに誘われたのが、助産師会に入るきっかけだったような…気がします(笑)。震災のすぐ後に開催したチャリティコンサートが、助産師会に参加して初めてのイベントでした。

 

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▲もの静かで落ち着いた物腰の立石さん。優しくママたちに寄り添っています。

 

田中 震災前に企画していた赤ちゃん向けのクラシックコンサートだったのですが、震災があったので急遽チャリティコンサートとして開催したイベントですね。

 

コサイト ということは、初期からのメンバーさんですね。立石さんはクラニオセイラクル(頭蓋仙骨療法)という施術ができるそうですが、始めたきっかけは?

 

立石 私は病院に勤務していたときに、医療の限界を感じていました。もちろん医療介入しないと生きられない赤ちゃんはたくさんいますし、医療を否定しているわけではありません。とても大切なことだと思っています。しかし、私たちにできることはそれだけではないのではないかと。たとえば抱っこするだけでも赤ちゃんに変化が見られたりします。クラニオは手で触れるだけで医療行為ではありませんが、身体や気持ちが少し楽になるような、そんなケアができたらいいなと思っています。

 

コサイト 私も母親ですが、触れ合うだけで子どもが落ち着いたりという経験はあります。特別なことではないですね。

 

立石 わが子に「触れる」ことに慣れていないママも少なくない印象です。そんなときには、さすってみたらとすすめたりしています。

 

コサイト いや〜、みなさん多彩ですね。ゲゲゲの町の助産師会には本当に圧倒されます。今日は6人…ということは他に17人もパワフルな助産師さんがいらっしゃるということですね。本当に頼もしいです。

 

田中 まだまだこれからですよ。ぜひ助産師会の活動にご期待ください!

 

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▲祖父母向けのガイドブックも作ったそう。世代間ギャップを埋める1冊。2000部がほぼ完売だそう。

 

 

執筆者

ゲゲゲの町の助産師会のみなさん。写真左から、棚木めぐみ(たなき・めぐみ)さん、髙橋孝予(たかはし・たかよ)さん、代表の田中佳子(たなか・よしこ)さん、小久保恵子(こくぼ・けいこ)さん、吉牟田あい(よしむた・あい)さん、立石由香麗(たていし・ゆかり)さん。

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