来年、小学校に入学します。生活環境が保育園時代とは大きく変わる学校生活に、マイペースな娘がついていけるかどうか心配です。(7歳女の子のママ)
(回答:教育支援コーディネーター 吉本裕子さん)
生活力・社会性がつく多様な経験を
前回の回答でもご紹介したとおり、一般的に「小1プロブレム」とは、小学校入学直後の子どもたちに「話が聞けない」「つい手が出てしまう」「授業中立ち歩く」といった落ち着かない状況などを指している言葉です。
発達に特性があるお子さんの場合、学校生活において適切な対応をとることでかなりの問題は解決します。しかし「小1プロブレム」は、いわゆる普通の子どもであっても、入学までに生活力や社会性が身についていない子どもたちが増えていることも原因となっています。
たとえば身の回りの整理整頓ができない、人の話を聞けない、着替えや移動に極端に時間がかかるなど。おそらく、生活習慣の中で培われてこなかったのではないかと思われます。
小学校に上がるまでは自由にさせてあげたい…そう考える親御さんの気持ちはわかります。しかし、学校生活に適応するためには、ある程度、幼児期から人の話をきちんと聴ける、身の回りのことを自分でできるようにするといった習慣づけが必要です。
最近は幼いころからさまざまな習い事をしているお子さんが増えています。たとえば、サッカーばかり、野球ばかりをやっていると特化された能力は高まります。しかし、全体の運動能力は育っていない場合も見受けられます。また、室内で遊ぶことが多いのか、泥んこや虫が苦手なお子さんも増えています。幼児期にはぜひ、バランスよくいろいろな経験をさせてあげてほしいと思います。
私自身が経験したケースも参考までご紹介します。
ある子は小学校入学前から、お母さんに勉強を教えてもらっていて、入学時には2年生ぐらいまでの勉強を終わらせていました。
当然のことながら、1年生に入学した当初から学校の勉強は知っていることばかりですから、面白くありません。勉強を「さぼる」ようになりました。何も勉強せず、それまでの「蓄積」でどうにかしようとしていたのです。
そのご家庭では「テストは100点でなくてはダメ」という考え方でしたので、テストで80点のときはトイレに捨てていることもわかりました。
幸い、お母さんが少しずつ変化し状況は良い方向に変わっていきましたが、とても心配な事例でした。1年生のころは、「知る」ことの楽しさ、「学ぶ」ことの面白さを十分に味わってほしいものです。家庭では、学校であった楽しかったことを十分に受け止めてあげてください。
まだまだ「小1プロブレム」のお話は続きます。次回は「1年生になったら、親がやるべきこと」をご紹介します。