インフルエンザによる学級閉鎖が相次ぐ(調布市発表学級閉鎖の状況)など、インフルエンザのニュースが目立ちますが、毎年冬を中心に多くの感染者を出す感染性胃腸炎も注意が必要です。調布市医師会の貫井清孝先生(小児科)に、ノロウイルスの特徴や、感染後の対処法についてお話をうかがいました。
「感染性胃腸炎を引き起こす原因となることが多いノロウイルスは、ウイルス量が少なくても感染・発症してしまうため、一気に感染が広がりやすいという特徴があります。また、ノロウイルスには実はたくさんの種類があり、たとえ1つの型に感染後免疫ができていても、別の型のウイルスに感染すると、また発症してしまうというのもやっかいな部分です」
感染力が強いこと、いったん感染しても、またかかってしまう可能性があるというノロウイルス。予防だけでなく感染を広げないためには、どうしたらいいのでしょう。
「ウイルスは空気中にある水分子にくっついてウイルスが拡散するので、室内で吐いた場合は、そこに居合わせた人も感染しないよう、処理する人以外はすぐにその場を離れる、窓を開けるなどしてください。嘔吐物の片付けにも注意が必要です。ノロウイルスは、85度以上の熱湯で1分以上加熱するか、次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系の漂白剤を使用することで死滅させることができますが、アルコール消毒では効果がないといわれています。また、嘔吐物がついた衣類やシーツなどを洗濯する場合は、その前に必ず十分な消毒処理を行うのが鉄則。そのまま洗濯すると、汚染されていなかった衣類まで汚染されてしまい、二次感染に繋がることもあるので十分に注意しましょう」
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会の『学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説 2017年4月改訂版』では、登校(園)の基準は下記の通りとなっています。
ノロウイルス、ロタウイルス感染症:急性期が最も感染力が強いが、便中に3週間以上排泄されることもある。症状のある間が主なウイルスの排泄期間なので、下痢、嘔吐症状が消失した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。
私たちにできることは、まずは手洗いですね?
「はい。たとえば、おむつ替えの場所の工夫や、おむつ替え処置をした大人の手洗いは念入りに。さらには、トイレ後の手洗い、食前の手洗いなどの日常生活の中での丁寧な手洗いを心掛けることで、感染を予防することが重要です」(貫井先生)