だんだん夏のような暑さの日も増えてきて、熱中症が心配な季節になりました。
熱中症とは、脱水によって起こる体温上昇と血圧低下、それに伴う臓器血流低下と高熱による多臓器不全によって起こる様々な症状のこと。重症化すれば命にも関わります。特に小さい子どもは、熱くなった地面の熱を受けやすいので要注意。四方を布で囲まれたベビーカーでの移動でも同様です。
調布市医師会の貫井清孝先生によれば、熱中症対策には水分補給だけでなく、体の周りの熱を持った空気を逃がす「風通し」を見直すことも大切なのだと言います。
「人間の細胞は、体温が34.0℃を切ってしまうと正常に働かなくなります。一方、42.0℃以上になると細胞内のタンパク質が変性して、細胞が死んでしまいます。そうならないために、私たちの身体は熱を作り出す一方で、汗をかいて熱を逃がすことで体温をコントロールしています」
人間には、生命を守るために備わった機能があるということですね。暑い日は身体の「風通し」を良くすることで、熱をコントロールできるということでしょうか。
「たとえば、夏の風のない日は蒸し暑く感じるものですが、扇風機をつけて風に当たれば涼しくなります。それは空気が動くことで体表面の熱を逃すことができるからです。したがって熱中症予防のためには、服はぴったりしたものよりも、風通しのよいゆったりしたものを選ぶのがコツです。背中に空気が抜けるようにしておくとよいでしょう。年齢が高い子どもの場合は、運動中(屋外で走ったり自転車に乗ったりしているとき)は体表に風を受けている状態、つまり『扇風機に当たっている状態』に近いと言えます。ところが休憩などで身体の動きが止まると、『扇風機が止まった状態』となり、熱の排出が鈍ります。それでも、体温は引き続き上がり続けるため、熱中症を発症する危険性が高まるというわけです」(貫井先生)
少しでも風があれば、皮膚表面の熱を流し去ることができ、汗を蒸発させ体温を下げてくれる新しい空気に触れることができます。ですから、高温で多湿な上に無風な環境では、熱中症のリスクが高まることに。6月以降は、さらに気温や湿度が高くなることが予想されますので、「風通し」にも十分に気をつけて熱中症予防に心掛けたいものです。
「もちろん、こまめに水分補給をすることも大切です。赤ちゃんの場合は、水だけでなく母乳やミルクも水分補給になります。とくに外遊びをする場合は、いつもの授乳に加え、最低でも1時間に1回は水分補給を心がけましょう。1時間につき体重1kgあたり10cc、体重10㎏で100ccの水分摂取が目安ですので、例えば『1時間に50mlを2回』というように回数を分ける飲み方でもOKです。」(貫井先生)