家庭の事情などにより、高校進学や就職をあきらめてしまう子ども・若者を支援している場所が調布市内にあるのをご存知ですか。調布市の委託を受けて社会福祉協議会が運営している「ここあ」という事業です。
調布駅近くの総合福祉センター5階にある「ここあ」は、子ども・若者を支援するための相談や居場所、学習支援事業を行っています。学習支援事業では、中学生1人に対して学生ボランティアがマンツーマンで高校進学に向けて学習をサポート。感覚が過敏だったり、コミュニケーションがあまり得意でなかったりするなど子どもによって特性も多様ですが、一人ひとりに寄り添い、丁寧に対応しています。
現在(2020年1月)の学生ボランティアは登録者が90名。そのボランティアを束ねているのが、学習支援コーディネーターの西牧たかねさんです。西牧さんは調布市内の中学校教諭として長年のキャリアがあり、「ここあ」と市内中学校との橋渡し役としても活躍。実際、市内のいくつかの公立中学校とはきめ細かい連携が実現していて、子どもひとりに多様な大人が関わり、支えているケースも日々増えているところです。
「学習支援」は月・水・金曜日の18時から20時まで行われていて、利用は1日あたりおよそ20〜30名ほど。高校受験間近の中学3年生は週に1回の学習支援の他、週2日まで「自習」のため通うこともできます。対象は児童扶養手当や就学援助などを受けている中学生。経済的な事情などから勉強をあきらめかけていた子どもたちに、学習習慣がつくよう促し、高校進学に向けて丁寧に指導しています。
もう一つの事業が「居場所」です。総合福祉センターの一室が「居場所」となる部屋。
不登校やひきこもりのおおむね15歳以上の子どもが利用できる事業で、取材した日もソファでくつろぐ子、ボランティアとゲームを楽しむ子などそれぞれが思い思いに過ごしていました。年に何回かレクリエーションも企画していますが、大切にしていることはここが「日常の居場所」であること。
「家でもない、学校でもないもう一つの居場所があることが大事だと思って運営しています」(ここあ・田村敦史さん)
あれこれうるさく言われることもなく、そこにいていいという心地よさ。お菓子を食べたり、おしゃべりしたり、ソファで寝転んだり。
ゆっくり心と身体を休めることが、明日への力につながっていくのかもしれません。もちろん復学や高校中退予防のための学習支援も本人の希望を聞きながら行っています。
18時からの学習支援に向けて、同じ建物内の一室では準備が始まっていました。30分前には学生ボランティアが集合し、ミーティング。その後個別の学習支援を行います。少し年上の学生ボランティアとのおしゃべりを楽しみにしている子もいるとか。
また、進路指導についても丁寧に相談に応じています。学校とも連携し、その子やご家庭にとってより適切な進路になるよう心をくだいている「ここあ」。学習支援や居場所を利用する目的に限らず、調布市の「子ども・若者総合相談センター」として、随時相談も受け付けています。どこに相談していいのか迷ったときは、まずは「ここあ」へ。おおむね中学生以上の子ども・若者とその家族が対象です。電話や訪問などによる相談だけでなく、必要な支援機関の紹介等も含め、課題解決のためのサポートを行っています(すべて無料)。
お問い合わせ、ご相談は、電話042-452-8816、メールはcocoa@ccsw.or.jpまでご連絡ください。平日は10時から20時まで(木曜日のみ17時まで)。