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いっしょに育て隊

第26回
フリー助産師 浅井貴子さん
地域ママたちのために、走り続けます(後編)

2016年4月8日 公開

調布市内をかけまわり、地域のママたちの子育てに寄り添い続けて20年以上という浅井貴子さん。

数々の雑誌から取材を受けたり、ハーブティーのプロデュースなど地域だけではおさまらない幅広い活動をしています。そのいっぽう、地域での活動にも力を入れているところからお話は続きます。

 

ママたちの「心」を満たす

 

コサイト ベビーマッサージの「プライベートレッスン」は、ご自宅で豪華なお食事つき。写真で拝見したことがあるのですけれど…お料理もスーパーな腕前をお持ちなんですね。本当に美味しそう。

 

浅井 いえいえ、豪華ということでもないのですが。主婦を30年近くもやっていればできるようになるのですよ。(笑)。

 

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コサイト ベビマ教室なのに、なぜお食事まで…?

 

浅井 育児期はお腹を満たさないと、心が満たされないと思うからです。子育て中のママは、心も体もヘトヘト。子育てに追われて、自分の食事はキッチンに立ったまま納豆ご飯をかきこんで終わり。母乳のママはその上おっぱいも出しているわけですし。

 

コサイト 授乳中こそ、体力をつけないと。浅井さんの手作りご飯を食べれば、心も体も満たされそうですね。

 

浅井 ベースのマッサージ教室の他、最近力を入れているのは、ダウン症や染色体疾患のお子さんを持つ親の会「プチカモマイル」です。この会では参加者が専門家や先輩ママの話を聞いたり、悩みを共有したりしています。タッチケアを取り入れ「愛着形成」のお手伝いをしています。調布市だけでなく周辺地域からも参加してくださっていて、3年目になりますが手応えを感じ始めています。

 

コサイト ママたちは心強いでしょうね!

 

浅井 いえ、むしろ私の方が赤ちゃんたちに力をいただいています。

 

「かなづち」が水泳指導者に

 

コサイト それにしても、浅井さんはパワフルですよね。助産師としての活動だけでなく、スポーツクラブでマタニティスイミングやアクアビクスなどのインストラクターとしても大活躍です。でも…浅井さんはお子さんを妊娠するまで「かなづち」だったという伝説がありますが、本当ですか?

 

浅井 は〜い、本当です!まったく泳げませんでした〜♪

 

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コサイト 明るいなあ(笑)。えーと、第一子妊娠のときにマタニティスイミングを始めたとのことですが、その頃はまだ泳げなかったのに、なぜやろうと思ったのですか?

 

浅井 20代のころ働いていた大学病院で、妊娠中に泳いでいた人の多くが、出産時の出血も少なく安産だったからです。

 

コサイト 安産のためなら、泳げないとか関係ないと(笑)。

 

浅井 あはは、妊娠していたから浮くだろうなと思って。水の中なら「腹這い」にもなれるしね。「私にこんな世界があったんだ!」という発見でした。

 

コサイト まあスイミングを始めただけならわかるのですが、その後水泳指導者の資格を取ってしまったところが「スーパー助産師」ならではのエピソード(笑)。

 

浅井 あはは、そうなのかな? 実際、妊娠しなければマタニティスイミングなどやらなかったと思います。それが今では近隣のスポーツクラブで毎日のように妊婦さんたちと泳いでいますから、人生ってわからないものね〜。

 

コサイト で、ですね〜。

 

心配は「体力のないママ」が増えていること

 

コサイト 妊娠中から体力づくりをすることは大事ですね。

 

浅井 はい。お産に使う体力は「富士登山」とほぼ同じぐらいと言われていますからね。出産したらすぐに育児が始まります。母乳の原材料は血液ってご存知ですか?

 

コサイト 出た!浅井さんのテッパンネタ「おっぱいは血と血で乳」っていうやつですね。

 

浅井 そうそう(笑)。つまり出産育児とは「富士登山の翌日から毎日献血」しているようなものなのですよ。

 

コサイト 半端な体力では、もたない…?

 

浅井 人類の歴史の中で、女性はその大変なお産を乗り切ってきました。女性ってすごいですよね。ただ、最近は体力のないママが増えているので、心配しています。

 

コサイト そうなんですか?

 

浅井 たとえば産後1カ月もしないうちに腱鞘炎になる人が増えています。理由は、筋力が弱く、体や筋肉の使い方が身に付いていないから。抱っこも沐浴も腕の力だけでやろうとするので、腕や腰を痛めてしまうのです。腰痛やぎっくり腰に悩んでいるママも多いです。

 

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子育てと「心の筋肉」

 

コサイト 体力があれば解決できるかもしれない問題なのですね。ということは、妊娠中こそ、意識的な体力作りをしなくては。

 

浅井 それにね、体を鍛えることで心の筋肉も鍛えられます。

 

コサイト 心の筋肉…? 

 

浅井 体力に自信がないと、ついいろいろな物事から逃げてしまうのではないでしょうか。たとえば赤ちゃんが夜泣きで泣き止まないときに、あやすだけの気力体力がないとか。

 

コサイト 厳しいご指摘ですね、でも確かにそうかもしれません。

 

浅井 お母さんはどんなときも子どもを守らなくてはなりません。大きな災害があって避難所に行ったら、授乳しながらおにぎりをもらいにいかなくてはならないでしょう?

 

コサイト いざというときに守れないのは困ります。日常的な子育てでも、心を強く持てたほうがいいですね。

 

浅井 ついハウツーものに頼ってしまう人が多いのも気になります。泣き止ませのアプリを使ってみたり…。厳しいことを言うようですが、人間ってそんなに簡単なものではなく、問題は思ったように解決しないのが子育てなんです。

 

コサイト ああ、また耳が痛いお話です。子育てはうまくいかないことだらけ。やりきるだけの気力体力をつけるのは必須ですね。心の筋トレの方法を知りたいです。

 

浅井 心を直接鍛えるのは難しいですが、運動をすることで、心の筋肉も自然と鍛えられます。体力に自信が持てるようになると、自然と心も前向きになります。

 

コサイト 運動を制限されている場合はどうしたらいいですか?

 

浅井 体に負担がかからない、何か打ち込むものを探すだけでもいいのです。趣味でも何でも。人や地域とつながる「つながりづくり」も心の筋肉がつきますよ。

 

コサイト 浅井さんをはじめ、地域には子育てを応援している人たちがたくさんいます。これからの出産、子育てを支えてくれるつながりが、きっと心の支えにもなりますね。

 

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勉強し続けて、地域のために

 

コサイト ところで、今また新しいジャンルを勉強中だそうで。

 

浅井 「コンディショニング」という、体を整えるメソッドを勉強しています。スポーツ選手も取り入れている方法です。800の筋肉の名前を覚えるだけでも大変なのですけれど(笑)

 

コサイト 乳幼児や子育て中のママにも応用できるのでしょうか。

 

浅井 最近の赤ちゃんは体が緊張ぎみなので、楽しく体を動かすことで整えていけたら…と考え、実はすでに赤ちゃん向けの「ベビーコンディショング」というプログラムも作りました。これから少しずつお伝えしていく予定です。

 

コサイト それは楽しみです。

 

浅井 学んだことを、どんどん地域で活かしていきたいです。私はこの地域がいい、この町で活動していきたいと思っていますから。

 

 

浅井さんの講座でおなじみ?の赤ちゃん人形を使いながら「足が大事なのよ」と、コンディショニングのプログラムを少し見せていただきました。

 

浅井さんの軽やかな声で「くるくる、ぱ〜ん♪」

 

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とにかく明るくて元気で楽しい!

 

この浅井さんの「元気」こそ、子育てママの支えになっているのでしょう。インタビュー後、美味しいお茶とお菓子をごちそうになりながら取材されたという雑誌をパラパラ。

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浅井さんは、全国でも地域でも変わらぬ「頼れる存在」に違いないと確信しました。(撮影・赤石雅紀 取材・竹中裕子)

 

執筆者

助産師、マタニティアロマセラピスト、マタニティスイミング及びアクアビクスのインストラクター。大学病院未熟児センター勤務の後フリーランスに。地域で母親学級、育児相談、赤ちゃん訪問を行うほか、プレママ★アロマ教室、ベビーマッサージ教室カモマイル、ダウン症の会「プチカモマイル」を主宰。母と子のナチュラルケアブランド AMOMAの開発も行う。 「助産師・浅井貴子 公式サイト」http://www.mid-wife.info/

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