コサイトウです♪
今回は音楽家ママの登場です。「kokoro-Ne」というクラシックアンサンブルトリオのメンバーでフルート奏者、楽譜製作や子ども向けのコンサートを行っている、唐木真由さんにお話をうかがいました。唐木さんは生まれも育ちも、調布。そして今も調布で、5歳の男の子の子育て中です。
私、内職系ミュージシャンなんです
唐木さんが初めて音楽に興味を持ったのは、ご自身が保恵学園幼稚園に通っていた時。先生がピアノを弾く姿に憧れたそう。
「ピアノを習わせて!と乗り気ではない両親にしつこく懇願しました(笑)」
あまりの熱心さにご両親も折れ、ピアノのレッスンに打ち込む日々が始まりました。
フルートとの出会いは、ピアノレッスンの宿題としてオーケストラの演奏を聴きにいった小学5年生の時。他の楽器は目に入らずフルートの音色と楽器の形状に一目ぼれだったそう。それからは、中学・高校・大学とフルート一本で音楽を極める道を歩き出しました。
大学卒業後、クラシック以外のジャンルにもチャレンジするなど紆余曲折を経てたどり着いたのが、様々なジャンルの曲をフルート演奏に耐えうるプロ仕様の楽譜に書き換えるというスタイル。これが好評で、今ではメインの仕事になっています。
「私、内職系ミュージシャンなんです(笑)」
▲唐木さん愛用のフルート。次回の演奏会に向けて
長さの違う2本のフルートを使って練習中
「ママの私」と「音楽家の私」
楽譜を書く作業の他、演奏の仕事や個人レッスンの講師もしています。
息子さんを妊娠中も、演奏会は控えていたものの、生まれる一週間前までは講師業を続け、産後3カ月には講師業を再開していたというから驚いちゃった。
「私は遅い方で、早い人は産後1カ月で復帰しますよ」
ええ〜、音楽家のみなさんはそんな感じなの?会社員だと、1年近く育休をとるよね。しばらく休もうっていう気持ちにはならなかったのかしら?
「とにかくブランクが怖かったです。実際、たった3カ月休んだだけでも、フルートを構えた時に吹き口にぴったり口をもっていくことができず愕然としました。変な音が出ちゃったりして…」
産後しばらくは練習時間が大幅に減りましたが、それでも辞めずに活動を続けることで、のんびりペースではあるけれどスキルアップしてきました。
「ママ演奏家ということを売りにせず、実力で勝負していきたい。一生のうちどこまで音楽をやれるかが人生のテーマなんです」
きっぱり言い切る唐木さんから、音楽に身を捧げていくのだという覚悟を感じました。
実は、コサイトウの心に引っかかっていたのが、子どもを持ったらその子に全てを捧げるべきっていう「母親神話」。自分が本当に好きなことに打ち込むことに後ろめたさを感じる時があるんです、私。
でもある時、息子さんが「フルートを吹いてるお母さんが一番好き」と言ってくれたそう。
音楽に打ち込む唐木さんの一番の理解者は、息子さんだったのです。
コサイトウもこのエピソードを聞いて、「母親だって自分の世界を持っていいんだ」という勇気が持てました!
頭の中の「音楽:息子さん」の比率
唐木さんの最大の理解者である息子さんは、とにかくやんちゃで頑固者。それに加えて口がたつので、親子でケンカばっかりしちゃうんだって。
「自分の頑固さが息子を通して自分に返ってきた感じで…意志がハッキリしているので、納得させるのが大変なんです」
口が達者な息子さんとのプチバトルに日々対処しながら、音楽家としての活動もする毎日。その時々で、意識を180度切り替えているのだとしたら、頭の中は大忙しのはず。
ところが、「息子の事と音楽の事は、両方とも常に頭の中にあります」と唐木さん。
育児と音楽の意識割合を「練習の時は音楽9息子1、夕飯の支度の時は音楽2息子8」のように比重を変えるという感覚。演奏会の練習をしながら「あー、明日芋ほり遠足だからお弁当作らなきゃ!」と頭をよぎることもあるんだって。切り替える、というのはちょっと違うのかな。
そう言われてみると、私自身子どものことが全く頭の中から消え去るっていうことは、ほとんどないなあ。比率を変えるっていう表現は案外しっくりくるかも。
やんちゃな鉄道オタクとの日々
実は息子さんは鉄道オタク。特に京王線がお気に入りだそうで、4歳ごろまでは京王8000系のおもちゃ必ず持ち歩くほど。駅名や鉄道用語から数字・平仮名・漢字の読み書きができるようになったり、電車の編成(8両や10両)や連結を見て足し算ができるようになったというのだから、「好きこそものの上手なれ」とはよく言ったものです。
ご主人も不定休なので、今はどちらか都合が良い方が息子さんとの時間を「テツ活」に費やしているという唐木さん一家。3人の予定が合った時は電車の旅に出て、息子さんがマイカメラで撮影したり、車両基地を遠巻きに延々と見つめている鉄道旅行を楽しんでいます。
▲旧京王電鉄の車両が走っている島根県の松江〜出雲を走る
一畑電鉄に乗りに行った時の写真
3歳頃までよく通った雨のお散歩コースは、なんと駅構内。京王線に乗って新宿駅に行き、JRの1番線から15番線までひたすら歩いてホームを行ったり来たり。これがなかなかの運動量になるので、よく昼寝もしてくれたそうですよ。
今では、レールの分岐点が特にお気に入りの息子さん。
「とにかくじーっと何十分も見つめているので、その間私は楽譜のことを考えながら息子にお付き合いしています。京王線と京王新線に分かれる笹塚駅と、京王線と京王高尾線に分かれる北野駅がお気に入りスポットです(笑)」
保育園から帰宅後、お風呂と夕飯を済ませると、寝る前の夜8時から9時まではひたすら電車の絵を描くお絵かきタイム。その時間を、唐木さんはフルートの練習時間に充てています。親子でそれぞれ自分の好きなことに全力投球する、貴重なひとときです。
取材を終えて
音楽という自分の世界を持っている唐木さんは、大変と言いながらも楽しそうに子育てしていました。
「ママ」になるって、母親という肩書が増えただけで「自分」が無くなるわけじゃないものね。「私だって新しいことチャレンジできるし、してもいいんだ」って考えただけでワクワクしてきました。
コサイトウ
3歳の娘とパパの3人で、ここ「コサイト」の中に住んでいます。 自然が豊かで、人もあったかい調布が大好き! 娘がもう少し大きくなったら、「自分時間」も大切にしたいな。