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いっしょに育て隊

第6回
中川平一(なかがわ へいいち)・黒木ユタカ(くろき ゆたか)
先生に出会ったから、今の僕がいる(後編)

2015年6月12日 公開

調布の街を描き続けて50年という画家の中川平一さんと教え子でイラストレーターの黒木ユタカさん。お二人の出会い、エピソードをご紹介した前編に引き続き、後編では調布の魅力、コサイトの街の絵にこめた想いについてうかがいました。

 「街の記憶が描かれた絵」と「街のを感じる絵」

 

コサイト 黒木さんが「絵」を仕事にすることに決めたとき、実は中川先生に相談されたとのことですね。

 

黒木 はい、そうなんです。僕自身が「絵で食べていこう」と思ったタイミングで、中川先生の個展がありまして、今まで僕が描いていた絵を見ていただきました。

 

コサイト どんなアドバイスでしたか?

 

黒木 先生は「君の絵は非常に面白い。僕と同じように街の絵を描いてはいるけれどスタイルが違う。君の場合、現場で描く必要はないけれど、必ず本物を見るようにしなさい」とおっしゃったのです。

 

コサイト 本物を見る、ですか。

 

黒木 それ以来、必ず現場へ行くようにしています。

 

中川 そうだったね。学ぼうという意欲のある人は、自ら近づいてきてくれるものです。こちらも教えるというよりは、ちょっとしたヒントを伝えるだけ。それでもちゃんとこうして伝えたことが「連鎖」しているのだから、本当に嬉しいことです。


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黒木 (部屋に並べてある絵を見ながら)先生の絵には、街の記憶が描かれていますよね。もう無くなってしまった風景もたくさんあります。

 

中川 街はだんだん変わっていくからね。でも、それは悪いことじゃないと思います。利便性だって大切だからね。僕はその変わりゆく姿を作品として残しているんです。

 

コサイト お二人の絵を拝見していると、どこか共通するものを感じるのですが…。

 

中川 それは、二人とも調布に住み、ふるさとを愛情込めて見つめている、ということじゃないかな。それがなければなかなか描けない絵だね。黒木君の絵からは物語が感じられます。

 

黒木 実はこの絵の中には中川先生もいらっしゃるんですよ。(指さしながら)ほらここです。先生がイーゼルを立てて絵を描いているでしょう。

 

中川 ああ、本当だ!

 

黒木 それを僕と息子が見ている、というわけです(笑)。先生は、僕が小学生のころから常にこうして現場で描き続けています。それがかっこいいです!

 

中川 いつも自転車に画材を載せて出かけているんですよ。

 

黒木 ご自宅の前に、その自転車がありました。

 

中川 あ、見られちゃったか(笑)

 

黒木 後でじっくり見せてくださいね!

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多世代が集うアトリエを、調布に

 

コサイト お二人とも、長年調布で暮らしていらっしゃいますが、調布の魅力ってどんなところでしょう。

 

黒木 僕は結婚前に一人暮らしをするので調布を離れましたが、結局戻って来たんです。調布に暮らしている人たちは、調布が好きですよね。都心から近いし、自然もあるから働いている人たちに必要なコンテンツがバランスよく揃っています。子どもの遊び場もたくさんあり、子育て世代もたくさん暮らしています。そんな中に昔ながらの金物屋さんなんかも残っていたりして…古いものと新しいものが共存しているところが魅力です。

 

中川 調布は自然の美しさと伝統がある街です。そういう魅力を感じ取って描き上げ、発信して広く伝えていきたいね。

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黒木 実は僕、調布にアトリエを作りたいと思っているんです。たとえばそこに若手のクリエーターが集まって来たりするような…。大人も楽しめるものを調布に作りたいと思っています。

 

中川 ぜひ、やってほしいですね。子どもたちにとっても、きっといいものになりそうだ。

 

黒木 先生にもぜひ来ていただきたいです。特定の世代が集まるのではなく、人と人とが世代を超えて縦につながるような、そんなアトリエになったらと思っています。

 

コサイト いいですね〜。

 

黒木 そう考えるようになったきっかけは、今回のこのコサイトでの仕事です。絵を描くことになり、あらためて調布ってどういう街なのかということを調べたり、歩いてみたりしました。そうするうちに、調布にアトリエを作りたいと思うようになったのです。

 

中川 楽しみだね。ぜひいっしょにやっていきましょう。

 

 

コサイトのお仕事がきっかけで、調布への愛着を再認識したという黒木さん。変わりゆく街の絵を描き続けていくという中川先生。お二人の対談は懐かしい思い出話に終わるのではなく、地域に「場」を作りたいという未来への想いへと広がっていきました。

黒木さんのアトリエがいつか調布にできたときには、きっと、いえ必ずコサイト編集部が一番に取材にまいります!

執筆者

左:中川平一(なかがわ・へいいち)1939年新宿区生まれ、1945年に調布市に転居して以来ずっと調布市在住。東京学芸大学美術科卒業。市内の小学校で教員となる。教員の傍ら街の絵を描き続けて50年。 右:黒木ユタカ(くろき・ゆたか)1976年調布市生まれ。イラストレーター・映像監督。デザイン学校在学中から始めた音楽活動の傍ら、CDジャケットやミュージックビデオの制作を手がける。2009年に独立。二児の父。

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