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いっしょに育て隊

第25回
フリー助産師 浅井貴子さん
地域ママたちのために、走り続けます(前編)

2016年4月1日 公開

フリーランス助産師の浅井貴子さん。あるときは調布市から派遣されて助産師が家庭を訪問する「こんにちは赤ちゃん訪問」の助産師さん、マタニティスイミングのインストラクター、そしてあるときはベビーマッサージ教室の先生…地域のいろいろな場で出会っているママたちも多いはず。

 

全国規模のお仕事もしているけれど、実は地域に根をはり、産前産後のママたちの力となるさまざまな活動を続けている浅井貴子さん。市内にあるご自宅でお話を伺いました。

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20年間で5000件以上の家庭を訪問

 

コサイト 私は以前から浅井さんのことを「スーパー助産師」と呼ばせていただいています!あちらこちらで引っ張りだこ。スケジュールもかなりタイトで、今日もこれからまたお仕事ですよね。

 

浅井 はい、このあとスポーツクラブでマタニティアクアビクスの時間を担当します。

 

コサイト 助産師さんなのに、その活躍の場はとても幅広いですね。どこから話を聞いたらいいのか迷いますね…え〜と、まずは赤ちゃん訪問から。

 

浅井 産後すぐ、産婦さんのご自宅を訪問する「こんにちは赤ちゃん訪問」では、調布市の委託を受けて年間250件程のお宅を訪問しています。もう20年続けているお仕事です。

160313_078▲「赤ちゃんがソファに寝かされているお宅もあります。新生児でも落ちることはあります。そんな危険をお伝えできるのも訪問ならでは」(浅井さん)

 

コサイト 訪問だけで、年間300件ぐらいの時期もありましたよね。

 

浅井 ありました。1日に何件も行くので、自転車で調布を駆け回っていました(笑)。

 

コサイト 単純に計算しても20年で5000件以上の訪問とは…すごいパワーですね。フリーランスの助産師として活動するということは、つまり助産師として、地域で産後ケアができるということですね。

 

浅井 そうなんです。これは私自身が子どもを産んでみて気づいたことなのですが、病院だと助産師と妊産婦さんとは出産後退院までのおつきあいで終わりです。けれど地域にいれば妊娠中から1歳、2歳と成長してもずっと関係を持ち続けることができる、つまり継続的に相談にのることもできるんです。

 

わが子に触れていますか

 

コサイト 今、産後ケアの必要性が注目され始めていますが、もう20年も前からそこに気づいて活動をしていらっしゃるんですね。浅井さんといえば、アロマの資格を活かしてベビーマッサージの教室も続けていらっしゃいます。

 

浅井 ママと赤ちゃんとの関わりのきっかけになればと。ベビーマッサージ教室を始めたころに来てくれていた子どもたちは、もう中学生です。今でも町でママたちにばったり会うことも多くて。「あのときベビマをやって本当によかったです」って言われるんですよ。

 

コサイト 赤ちゃん時代の子育てが思春期まで影響するという…?

 

浅井 赤ちゃん時代、ベビマは「便秘が改善する」とか「寝付きがよくなる」といった直接的なメリットを感じやすいのです。でも、赤ちゃん時代からずっと続けていると「親に触ってもらった」という、いわゆる「愛された記憶」が肌に残るのだろうと思います。

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コサイト ほほ〜。

 

浅井 思春期にはもちろん反抗期はありますが、こじれることは少ないようです。

 

コサイト だから中学生ママたちも、あらためて感謝したくなる。

 

浅井 「あの頃は忙しい毎日だったけれど、本当にやっててよかった」って言ってくださいます。

 

コサイト でも、赤ちゃんのお世話をしていればすでに赤ちゃんに触っていますよね。わざわざベビマをやらなくてもいいのでは?

 

浅井 お風呂に入れたり、おむつ替え、授乳、抱っこ…といつも触っていますが、そういうお世話以外で子どもに触れることが実は大事なのです。

 

コサイト より積極的に「触れる」ということですね。

 

浅井 赤ちゃん時代からいつも触れていれば、小学校高学年ぐらいのお子さんでも「ママ、今日は背中をさすって」と言ってくることもあります。たとえば成長期には成長痛など関節が痛くなったときに、お母さんの手を当ててあげるということが大切なんです。さすったり、オイルをつけてマッサージしてみたり。

 

コサイト 習慣になっていれば、思春期でも自然に触れることができそうですね。

 

浅井 そうです。赤ちゃん時代からママが「手間」を惜しまず関われる習慣づけになるのも、ベビマのいいところ。赤ちゃんにじっくり向き合って、触れることができますからね。ちょっと厳しいことを言うようですが、授乳中もベビーカーを押しているときもスマホが気になって、赤ちゃんのことを見ていないお母さんが多くなってきているように思います。

 

コサイト 耳が痛いです。子育てを一人で抱え込む苦しさもあるのでしょうね。私も、授乳しながらテレビを見たりしていましたから。

 

浅井 もちろん、ママたちだけが悪いのではありません。社会の変化などさまざまな状況がそうさせてしまっているのです。いまだ女性が子育てをして当たり前という風潮が根強い中では、孤立感を深め苦しくなるのも当然のことです。

 

コサイト 本当にそうですね…。私自身、苦しくて逃げたいと思ったことは数えきれないぐらいあります。

 

浅井 私は地域でママたちを応援したい、わが子のことを心の眼で見ることができる「ゆるがないママ」になってもらいたいと思っています。だから地域に根ざして、ママたちに少しでも寄り添った支援をしていきたいのです。

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地域に根ざした活動の意味を、熱く語ってくれた浅井さん。アロマやベビーマッサージという手法を通して、助産師としての活動の幅を広げていったのですね。インタビュー後編では、ママたちの体力向上のためのヒントもご紹介します。お楽しみに!

(撮影・赤石雅紀 取材・竹中裕子)

 

 

執筆者

助産師、マタニティアロマセラピスト、マタニティスイミング及びアクアビクスのインストラクター。大学病院未熟児センター勤務の後フリーランスに。地域で母親学級、育児相談、赤ちゃん訪問を行うほか、プレママ★アロマ教室、ベビーマッサージ教室カモマイル、ダウン症の会「プチカモマイル」を主宰。母と子のナチュラルケアブランド AMOMAの開発も行う。 「助産師・浅井貴子 公式サイト」http://www.mid-wife.info/

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