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いっしょに育て隊

第31回
調布市立中央図書館児童書担当  江原未菜子さん
「この本読んでみない?」と子どもたちへ(前編)

2016年8月26日 公開

調布市立図書館は、平成28年の今年で50周年。中央図書館は都内でも屈指の蔵書数を誇っています。児童書も数多く扱っている調布市の図書館は、子育て中にはぜひ利用したい施設ですね。

 

読書の秋も目前!ということで、児童書担当歴5年目という若き司書さん、江原未菜子さんにお話をうかがいました。

 

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児童書が充実 調布の図書館

 

コサイト 調布市の図書館は、児童書がとても充実しているとのことですね。それは図書館としての方針が反映されているのでしょうか。

 

江原 調布市には分館も含めて11の図書館があります。運営方針を記した中にも「子どもにいい読書環境を提供するため、全館に質の高い図書を揃える」と明記されています。子どもたちにいい本を、という思いはずっと持ち続けています。

 

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コサイト 本当だ!赤ちゃん連れが参加できる「おはなし会」の取り組みもありますが…たとえば生後3カ月ぐらいの赤ちゃんでも楽しめるのですか?

 

江原 楽しめます!全館で開催していまして、中央図書館でも毎回20組から30組ぐらいの親子が参加してくれます。半数ぐらいは0歳児さんですよ。子どもたちが喜んでくれる絵本はたくさんあります。たとえば…(と、絵本を書架に探しに行く江原さん)。

 

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江原 「はねはね はねちゃん」(中川李枝子作・山脇百合子絵・福音館書店)を読むときは「今日は、はねはねはねちゃんと一緒に体操しましょう!」と声をかけてから始めるので、参加してくれているママたちが赤ちゃんに触れて一緒に遊ぶきっかけにもなっています。

 

コサイト 楽しそうですね〜。

 

江原 それから「ぶーぶーぶー」(こかぜさち作・わきさかかつじ絵・福音館書店)は赤ちゃんたちが口真似しようとしたり、言葉のリズムに反応して喜んでくれます。

 

コサイト ちゃんと聴いているんですね。

 

江原 ふとしたことでニコッとしてくれたり…本当に可愛いです。「おじょらぽん」(はせがわせつこ・作 さいとうとしゆき絵・福音館書店)も、人気がありますよ。おじょらぽんというのは造語だと思うのですけれど「ねんねんねん」という言葉と一緒に繰り返され、最後にはみんなねんねしてしまうという絵本なんですが、おはなし会でも本当に寝ちゃう子もいるんです。「あ、寝ちゃった」って(笑)。

 

コサイト あはは、面白いですね。

 

 

読み聞かせは何のため?

 

コサイト 子どもが生まれたら絵本の読み聞かせは必須、子どものためにやらねばならないと考えて苦しくなっているママもいるかもしれません。

 

江原 確かに、世間では「小さいころから絵本を読み聞かせると、こんなにいいことがあるよ」という情報が溢れているような気がします。感情が豊かになるとか、言葉の発達にいいとか。でも絵本の読み聞かせは、ママやパパなど赤ちゃんが安心できる存在の大人と一緒の時間を過ごせることがいいことなのではないでしょうか。実は私も、子どものころたくさん読み聞かせをしてもらった記憶があります。

 

コサイト そういう記憶が、今の江原さんのお仕事にもつながっているのですね。江原さんの大好きだった絵本は?

 

江原 え〜と、取ってきますね(とまた書架へ向かう)。これです「ねずみくんのチョッキ」(なかえよしを作・上野紀子絵・ポプラ社)。言葉と絵が楽しくて、何度も読んでもらったんです。

 

コサイト 楽しい記憶とともに、心に残っているんですね。

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図書室の先生との出会い

 

コサイト 江原さんはよく本を読む子どもだった…?

 

江原 それが、小学校低学年のころは、あまり読みませんでした。近くの田んぼで大量のザリガニを採ってくるような、外遊びが大好きな子どもだったもので(笑)

 

コサイト 活動的な女の子だったのですね。そして、また読むように?

 

江原 3年生のころ、図書室の先生と仲良くなりました。何気ないおしゃべりをする中で「この本読んでみたら」といろいろな本を手渡してくれたのです。

 

コサイト どんな本を紹介してくださったのでしょう?

 

江原 一番心に残っている本は…(とまた書架へ向かう)。3年生のときに紹介してもらった、これです!

 

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コサイト 「モモ」(ミヒャエル・エンデ作・岩波書店)ですね。ファンタジーの大作ですけれど、小学3年生にはちょっと難しいのでは…?

 

江原 この本を家に持ち帰ったとき、母も「読めるの?」と驚いていました(笑)でも、読みましたね。

 

コサイト 読めるだろうとわかっていて、すすめてくださったのかしら。すごい先生ですね。

 

江原 この先生の存在が、私が司書を目指した原点です。身近に本を手渡してくれる大人がいた幸せを痛感しています。だから私も図書館のスタッフとして、子どもたちに本を手渡せるようになりたいと強く思っているのです。

 

コサイト 子どもたちのために…。

 

江原 そして、子育て中のママたちが少しでもほっとする場として図書館を利用していただけたら嬉しいです。子どもが絵本を見て笑って、こんないい表情をするんだって気づいてもらえたら、そのお手伝いができたらいいなと思っています。

 

コサイト 調布市の図書館は赤ちゃんでも貸出カードが作れますから、生まれたらすぐに図書館へ!

 

江原 うふふ、ぜひいらしてください。調布市の図書館はいつでもどこでも誰でも使える図書館です。あ、カードはご本人がいないと作れないので、ぜひ赤ちゃんと一緒にいらしてくださいね!

 

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調布市の図書館にはこんな素敵なスタッフさんたちが、児童書への熱い思いと共に日々の業務を行っています。調布市はとくに児童書への取り組みが充実しているので、多方面から注目されています。こんなに身近にあるけれど、実は、とってもすごい図書館だというお話は、次週公開の後編でご紹介します。(撮影・赤石雅紀 取材・竹中裕子)

 

 

執筆者

江原未菜子(えはら みなこ)  大学卒業後調布市立図書館若葉分館を経て、現在は中央図書館児童書担当の司書として勤務。1歳の姪っ子さんが生まれたとき、「すぐに絵本をプレゼントしました」。

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