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ちょうど1年前の2023年9月に公開した「てつみち」これまでストーリーでは、多様な世代が日常的に利用し、またイベント開催の場としても人気の「てつみち」誕生からクローズまでのストーリーをご紹介しました。
あれから1年。あの場所は新「てつみち」として9月14日(土)にグランドオープンします。オープン直前の8月下旬、関係するみなさまに、新「てつみち」誕生までのストーリーを伺いました。
新「てつみち」は鉄道跡地から道路へ
お話を伺ったのは、調布市都市整備部道路管理課の青山桂さん、株式会社京王SCクリエイション営業推進部の伊藤将希さん、そして株式会社日建設計企画開発部門の田口元香さん。
コサイト 旧「てつみち」は京王線の連続立体交差事業(地下化)にあたり、いずれは調布市へ売却することが決まっていたというお話を以前の座談会で伺いました。売却後はどうなったのでしょう?
青山さん 「てつみち」があった場所は調布市が取得し、道路として整備することが決まっていました。実際にどのような事業を展開していくか検討している中、令和2年度に道路法の改正があり「歩行者利便増進道路(通称ほこみち)」制度(外部リンク)ができ、調布市としてこの制度を活用することなりました。
コサイト ほこみち制度を導入することで、普通の道路とは違う使い方ができるのですね。
青山さん はい。通常の道路に比べ、道路占用の要件が緩和されるため、占用事業者はテーブルや椅子、什器などのほか、キッチンカーなどの設置がしやすくなります。ポイントは占用期間が20年と長いこと。長期の利用が決まっているから投資がしやすく、思い切った事業展開も可能になります。
コサイト 占用事業者は公募されたのですよね。
青山さん はい、それまでの「てつみち」同様、市民に親しまれている、にぎわいが生まれる場という流れを踏襲したプランを期待して、占用予定者を公募しました。複数の事業者さまから応募いただいたのですが、いずれも魅力的なアイデアにあふれたものでした。
コサイト 厳正な審査を経て占用事業者に選定され、今後の運営を行うのはトリエ京王調布さんです。
伊藤さん 2024年7月より、トリエ京王調布の運営は京王電鉄株式会社から商業施設に特化した株式会社京王SCクリエイションという新会社に変わりました。これまで以上に地域との関係をしっかりと作っていきたいと考えています。会社は変わりましたが、「てつみち」への思いは以前と変わりません。設計を担当していただく日建設計さんと協議を重ね、鉄道の跡地としての記憶は引き続き残し、利用する方たちが快適に過ごすことができる空間を作るべく準備をしてまいりました。
田口さん 設計にあたっては「かつて愛された部分を残しつつ、さらに利用する方たちの層を広げる」という視点で臨みました。以前はファミリー層や学生さんたちが多かったと思いますが、新「てつみち」では夜も快適に利用できる大人のための空間、一人で訪れても落ち着いて過ごすこともできるようになればと。
コサイト この先20年続くという視点も、設計に組み込まれているのですか?
田口さん はい、みなさんと時間をかけて一緒に作り上げていく、そんな場にしていきたいと考えています。いろいろな方を受け入れ、多様なニーズに対応し変化できる手作り感のある場というイメージで、「クラフトコモンスペース」という考え方を意識して設計しました。
コサイト 旧「てつみち」は、「アクティビティデザイン」(人々の行動を促すデザイン)という考え方に基づき設計されたというお話でした。
田口さん 今回も同じ考え方を根本に持ちつつ、さらにアップデートしています。以前は段々になった階段のようなもの…プレイヒルが設置されていて、人気でした。お子さんたちが登ったり降りたり、イベントではステージのように使ったり、腰掛けて休憩したり…使う人や状況によって使い方がそれぞれというところが魅力でした。それを受け、今回は3つのプレイヒルを設けました。木製のもの、芝生(人工芝)のもの、そして自由に落書きができる黒板のものです。
青山さん 新しい「てつみち」は道路という位置づけですから、落書きはできなくなるので残念に思う方も多いと思います。黒板プレイヒルの設置はそういった思いにも応えてくださっているのだと思います。
コサイト 素敵ですね!気持ちよく使うためにも、ルールは守らなくては。イベントなどを開催する際には、周辺地域への配慮も必要ですね。
伊藤さん 音量などを含め、開催時における近隣への配慮は必須です。「てつみち」は自由な空間とうたっていますが、私自身は、そこにいる全員が快適に過ごせる場であってほしいと願っています。何でも「自由」にやっていいということではないと思うのです。残念なことに正式オープン前の「てつみち」では、喫煙や、タバコ・ゴミのポイ捨てなどが見受けられ、このことについては強い課題感を持っています。
コサイト それは残念!
伊藤さん できるだけ「禁止事項」を掲示したりせずに運用してきましたが、やはり明らかに駄目なこと、危険なことについてはご案内をしていきたいと思っています。
青山さん お子さんや高齢の方たちも利用しますし、近くには病院もあり、通院されている方も休憩などで利用されているような場です。誰もが健やかな気持ちで安全に利用していただきたいです。
旧「てつみち」の魅力をさらにパワーアップ
コサイト 正式オープン前ですが、すでに一部開放されているので、みなさん思い思いに過ごしているようですね。芝生で赤ちゃんを遊ばせているご家族もいらっしゃいました。
伊藤さん 芝のスペースは子どもを遊ばせるのによいというお声もあったので、芝のプレイヒルを作りました。ソファのように座ったり、寝そべったり…そういう部分も含めてより使いやすい、より過ごしやすい空間を目指していきたいです。みなさんには自由に使っていただきたいです。子どもたちが遊んだり、ママさんたちがランチをしたり、中高生がテーブルで何時間もおしゃべりしたり。
田口さん 芝生があるだけで、寝転がったり、靴を脱いで上がったり、座ってみたり…以前の「てつみち」での様子を見て、あらためて「芝の効果」を実感しました。芝があるから「そこでくつろいでいいんだ」と感じていただけることを期待しています。
コサイト 地面には白線でいろいろなペイントもあります。子どもたちがいろいろな遊び方をしてくれそうな予感がします。
田口さん レールのエリアには白線で枕木のようにペイントしました。昔の道路遊び「ケンケンパ」のような遊び方ができそうなペイントも施してあります。イベント時にはエリア分けに使うなど自由に解釈し、使っていただきたいです。
コサイト 可動式のベンチもあるなど、本当に使う人たち次第ですね。イベント開催も前提で設計されているのだと思います。設置されているプレイヒルの高さにも配慮をされたのでしょうか?
田口さん はい、以前と同じく人の目線の高さを超えないように設定しました。細長い敷地なので全体を見通すことができるよう、また、小さいお子さんがいる方はお子さんに目が届きやすいように。
コサイト 旧「てつみち」の記憶をしっかりと踏襲しつつ、パワーアップしているところが、一利用者としてはとても嬉しいです。
伊藤さん 設置する家具類にも、以前の「てつみち」の記憶がしっかり残してあるんですよ。たとえば、テーブルやベンチの天板には、以前のてつみちで使っていた什器などを砕き、端材にしたものを混ぜて作りました。ワイン樽や植栽ベンチは傷んでいましたが補修した上でワークショップを開催し、参加してくださった子どもたちに美しくペイントしていただきました。私たちだけで作るのではなく、一部はてつみちを利用してくださっている皆さまにもお手伝いしていただきました。
コサイト それができるのも「ほこみち」制度のおかげですね。
青山さん 「ほこみち」制度はすでに全国各地で導入され、魅力的な場作りの事例がたくさんあります。私たちも参考にさせていただきました。「てつみち」が起点となり西側に続く緑道を進むと、その先には鬼太郎ひろばがあります。この緑道は「水木ゾーン」として、今後ブロンズ像などの設置を予定していますので、お楽しみに。ぜひお散歩コースとして利用していただきたいです。
コサイト イベントも楽しみです。
伊藤さん 調布市内はもちろん多摩地域などいろいろな方が、ここでイベントを開催できるような場を目指します。トリエや「てつみち」が街のハブのような、何かができる場だと認知してもらえたら。同時に日常的に使っていただく機会も多いので、そこも大切にしていきたいと思っています。
新しいてつみちの「進化」が楽しみですね。9月14日(土)、15日(日)、16日(月・祝)には、新「てつみち」オープニングイベントが予定されています。詳しくはトリエ京王調布のHPにあるイベントページをご覧ください!
(撮影 楠聖子)
左から調布市の青山桂さん、トリエ京王調布の伊藤将希さん、株式会社日建設計の田口元香さん