多くの方が花粉症に悩まされる季節になりましたね。大人だけでなく子どもにも増えていて、なかには乳幼児期に花粉症を発症する子も。もし子どもが小さなうちに予防できることならしたい!というのが親心というもの。アレルギー全般の予防にスキンケアが関係するという最近の研究のお話を調布市医師会の貫井清孝先生(ぬきいこどもクリニック院長)にお聞きしました。
「アレルギーの原因物質が体の中に入ってくる経路を考えた時に、花粉症や気管支ぜんそくでは、鼻や気管支粘膜に原因物質が付着してアレルギー反応を起こし、食物アレルギーでは食べたものが消化管粘膜でアレルギー反応を起こすと考えるのが一般的です。しかし最近の研究から、皮膚から原因物質が体の中に入って感作(アレルギー準備)状態が作られ、次に原因物質が鼻や気管支、腸に入ったときにその場所でアレルギー反応を起こしているのではないかと考えられるようになりました。
本来、皮膚の表面は汗や皮脂などの薄い膜で覆われ、外部からの刺激や物質を跳ね返しています。実はアレルギーの素因(その病気にかかりやすい素質)のある子どもの周りには、原因物質の細かな粉(タンパク分子)があり、この物質が絶えず皮膚表面に付着していると考えられています。
成長の流れから見ると、子どもは生まれた時には胎脂につつまれていますが、皮脂の分泌は生後2ヶ月頃から減りはじめ、小学校入学前頃に最も少なくなります。幼児の皮膚が、冬場にビロード状にキラキラ光っているのは、ものすごく細かな亀裂が皮膚に入った状態です。この皮膚の細かな亀裂や、引っ掻いて赤くなった所からアレルギーの原因物質(ダニの糞や花粉、食物の微粉)が体内に入って免疫担当細胞を刺激して、感作状態を作るといわれています。逆に肌のバリアをしっかり作ってあげればアレルギーを予防できる可能性が高くなります。細かな亀裂を作らないようにいつも肌をしっとりと保湿に気をつけ、肌が赤くなったり、痒みが出るようなら早めに治療を受けて健常な皮膚に戻すことが大切です。」(貫井先生)
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