もうすぐワクチンデビュー。ロタウイルスワクチンは種類があるそうですが、どう選べばいいでしょう? また、他のワクチンよりも接種期間が短いようですが…(1カ月男の子のママ)
2020年10月から定期予防接種となる、ロタウイルスワクチン(飲むワクチン)。どんなワクチンでどんな注意が必要か、お話します。
そもそも、ロタウイルス感染症ってどんな病気?
「冬期嘔吐下痢症」「白色便性下痢症」と呼ばれていた、昔からある病気です。嘔吐下痢症の原因となるウイルスには、ロタウイルスの他にノロウイルスがありますが、ロタウイルスによる場合の方が症状が重く(脱水がひどく、脳炎・脳症を合併することも)、回復まで1週間以上かかります。
対症療法が唯一の治療で、抗ウイルス薬はありません。ワクチンの登場により、患者数は減少し、冬場の胃腸炎の主な原因はノロウイルスになってきています。
ワクチンの種類と違いって?
ワクチンには2種類あります。ロタリックス®(GSK社)とロタテック®(MSD社)です。大きな違いは接種回数です。
1)ロタリックス®
・4週間以上の間隔で24週+0日までに2回接種
・ヒト由来(ヒトが罹るウイルス)ロタウイルスG1P[8]型の弱毒生ワクチン
・5種類のヒトロタウイルス感染を防ぐ
・重症ロタウイルス感染症の約98%を予防する。
2)ロタテック®
・4週間以上の間隔で32週+0日までに3回接種
・ウシ由来(ウシが罹るウイルス)ロタウイルスG1 、G2 、G3、 G4、P1A型を含む弱毒ワクチン
・5種類のヒトロタウイルス感染を防ぐ
・重症ロタウイルス感染症の約98%を予防する。
効果と副反応の発生頻度(後述参照)をみても、両者に差はないと考えられます。予防接種を受ける医療機関で使用しているワクチンで良いと思います。
副反応が心配なのですが…
ロタウイルスワクチンで起こりうる副反応は、腸重積です。
腸重積とは、腸が腸を巻き込んで、はまってしまう病気。腸の中を便が通ることが出来なくなり、腸にも血液が回らなくなるため、すぐに治療が必要です。
ワクチン接種による腸重積が、どのくらいの頻度で起きるかは以下の通り。
・ロタリックス 3.1例/10万接種
・ロタテック 4.2例/10万接種
・自然発症 100-500例/10万人
つまり、副反応が起きるリスクは、自然に腸重積にかかるリスクの1/100です。
接種後4週間は腸重積の発現に注意が必要です。
もし接種後(特に7日以内)に機嫌が悪い、激しく泣く、機嫌が良かったり悪かったりを15分間隔で繰り返す、お腹が膨れる、便に血が混じる場合はすぐに医療機関を受診し、ロタウイルスワクチンを接種したことを伝えてください。
どうして接種期間が短いの?
月齢が進むと、腸重積にかかりやすくなるためです。
これまでの報告から、初回接種が15週を過ぎると発現頻度が多くなることがわかっています。そのため、初回接種は14週+6日までとなっています。
※接種を受けるまでに、腸重積にかかったことがある児やメッケル憩室などの先天性消化管障害の診断を受けている児は接種できません。
非常に感染力が強いけれど、ワクチンが有効なロタウイルス。お子さんの体調不良等を見越して、余裕を持った接種スケジュールを早めに立てておくといいですね。
※ロタウイルスワクチンについては、調布市のウェブサイトの情報もご参照ください。