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子どもの食習慣やマナーは、いったいどうしたら身につくのでしょう。
「手づかみ食べはできれば避けたいけれど…」
「お箸の持ち方を教えるのは何歳から?」
「好き嫌いがあって、バランスよい食事とは程遠いな…」
「食事に集中できず、すぐに飽きちゃう」
このように悩みが多いのも乳幼児の食事ならでは。認可保育園パイオニアキッズでは献立の工夫だけでなく、食習慣全般についてもしっかりとした考え方をベースに、保育を行っています。すべてをご家庭で行うのは難しいかもしれませんが、少しずつ取り入れることはできそう。子どもの発達を理解し、タイミングよく促すことで、思いがけず効果を実感できることもあるかもしれません。
そこで今回は、保育園で実践している食習慣の指導について、パイオニアキッズつつじヶ丘園ののりこ先生と、管理栄養士のめぐみ先生にお話をうかがいました。
(※2020年3月に取材しました)
おいしく食べるために大切なこと
子どもの好き嫌いや食事に集中できないなど、子どもの食事に悩みはつきものです。たとえば、せっかく食事を作ったのにほとんど食べなかったり…。
「保育園では、毎日たくさん身体を動かします。運動量があれば食欲も自然とわいてきます。保育園ではたくさんお散歩をしています。よく歩くことで腹筋や背筋が自然に鍛えられるので食べるときに姿勢を維持することもできますし、何よりお腹が空いているのでよく食べるのだと思います」(のりこ先生)
家庭では保育園のように身体を動かすことは難しそうですが、運動量を意識することは大事なことですね。とはいえお腹が空いているはずなのに、なぜか気が散って食が進まないこともあったりします。
「ご家庭では、テレビがついているなどどうしても集中できない環境になりがちですね。保育園でも、0歳、1歳ごろの子どもたちだと、どうしても興味があちこちに向いてしまいます。椅子に座っていても身体をよじって他のほうに気を取られている子は少なくありません」(めぐみ先生)
テレビに気が取られるのは大人も同じ。本当は見たい番組があっても、食事中だけはがまんしたほうが良さそうです。また、子どもに食べさせている間、親が家事をするなど席についていないのも、気が散る一因かもしれません。
「前を向いて食べるためには、椅子の高さもポイントになると思います。座ったときにしっかりと足がついているかどうか、ぜひ確認してみてください。ここの園ではジュースなどの紙パックで作った足を載せる台を用意しています。この台を使うと両足をつくことができるので、しっかり前を向けるので姿勢を維持しやすく、身体がよじれることも少なくなるような気がします」(のりこ先生)
ご家庭でも、できるだけ身体を動かすこと、そして食卓で使う椅子の高さ、足裏が床(またはキッズチェアなどの足台)についているかどうかをチェックしてみましょう!
食事に関心を向けてもらう
食べることそのものに関心をもたせることもまた、保育園では大切にしています。
「とくに0歳、1歳の子どもたちは、お友だちの様子が気になって
食に関心を持ってもらいたいと、パイオニアキッズでは0歳児から「給食づくりのお手伝い」も日々の保育に取り入れています。
それはたとえば野菜の皮をむいたり、もやしを折ったり、しめじを割いたりなどごく簡単な作業ではありますが、子どもたちの「食べる意欲」につながっているとのこと。
(コロナウイルス感染症予防のため)今は難しいかもしれませんが、子どもと一緒に買物へ行き、材料を一緒に選んだりするだけでも、それが「食べる意欲」につながるかもしれません
手づかみ食べと手首の動きの深い関係
そして気になる「手づかみ食べ」。汚れるし、できればスプーンを使えるようになってほしいと考えがち。パイオニアキッズでは0歳、1歳ごろまでは、思い切りやらせています。
「まずは手づかみ食べからスタートです。スプーンに興味を持ち始めたら『その子が持つためのスプーン』を与えますが、職員が介助するスプーンは別に用意します。つまり一応スプーンを握らせているというわけです」(めぐみ先生)
パイオニアキッズで手づかみ食べを推奨する理由は、「お箸」や「鉛筆」を正しく持てるために必要な「動き」と共通しているから。
「手づかみで食べ物をつかみ、口に入れるときの動作をイメージしてみてください。食べ物をつかんだら、手首を内側にひねって口に入れますね。この手首をひねる動きを定着させるため、パイオニアキッズではとことん手づかみ食べをさせています。1歳ごろになってスプーンを持つようになったら、持ち方を伝えます」(のりこ先生)
最初のうちは、スプーンを持つ手も「回外握り」や「回内握り」になります。それを少しずつ「3指持ち」へと促していき、お箸へとつなげます。
ポイントは、食事中に口うるさく注意しないこと。
「食事が楽しくなくなってしまっては本末転倒だからです。さりげなく、いやにならないように、ときどき持ち方を『こうだよ』と教えてあげる程度で十分です」(めぐみ先生)
お箸の練習は「遊び」の中で!
毎日の食事中に、
「お箸はこう持つのよ」
「きちんと持ちなさい」
なんて注意ばかりしていると、子どもはもちろん親もイライラしてしまいますね。これでは食事の時間が辛くなってしまいかねません。
パイオニアキッズではお箸の「練習」は遊びの中で、と決めています。まずはスポンジを小さく切ったもの(サイズは大中小)と、適当な大きさの器を2つ、お箸を一膳用意します。
器に入っているスポンジをお箸でつまんで、もう一方の器へと移すのですが、最初のうちは大きなスポンジでも一苦労。ところが毎日のように遊んでいるうちに、少しずつ小さいスポンジもつまめるようになります(お箸の持ち方は大人がさりげなく教えます)。
小さいスポンジをクリアできたら、大豆などの豆でも挑戦!
「保育園では、今(取材時)も2人がこの遊びにはまっています。いつも誰かが練習中という感じなのですが(笑)、できる子たちも『次はぼくにやらせて』などと言ってきたりして、楽しい遊びというイメージが定着しています」(のりこ先生)
お箸を正しく持たないとお豆はなかなかつまめません。お箸の練習にもなる楽しいおもちゃは身近なもので作れますので、ぜひ家庭でも用意してみてはいかがでしょう。ふだん使いのお箸やスプーンのサイズも子どもに合わせてあげましょう。お箸を正しく持てるようになれば、自然と鉛筆も正しく握れるようになりますね。お箸の遊びは小学校入学前の大切な準備ともいえそうです。
「好き嫌い」は成長とともに
パイオニアキッズでの食事は、これまで(2020年2月時点)はブッフェ方式をとっていました(コロナウイルス感染症予防のため、3月の取材時はそれぞれに盛り付ける方式に変更されていました)。
当然、好きなものはたくさん取るし、苦手なものは敬遠します。けれど先生たちは「少しだけ食べてみようか、1つだけ…」と、たとえば小さなキノコ1つ、野菜の千切り1切れなどほんの少しでも「盛り付ける」ように促します。
「子どもたちには、いろんなものを食べたほうが大きくなれるよね、という話をいつもしています。だから、好き嫌いのある子も促されるとしかたなく一口は食べるのです。嫌いなままの子もいますが、食べてみたら意外に大丈夫だったりして、おかわりする子もいます。つまり、食べたことがないから敬遠しているだけで、食べてみたら美味しかったという(笑)」(めぐみ先生)
家庭での食事は、忙しい毎日ということもあり、どうしてもメニューのバリエーションが少なめになりがち。だからこそ保育園では多様な食材を体験してもらいたいと、めぐみ先生たちは考えています。パイオニアキッズに入園してくる子どもたちも、毎日の生活の中で少しずつではありますが、まんべんなく食べられるようになってきています。
とはいえ、たとえば少しこだわりが強いなど、さまざまな事情で「偏食」な子もいるのでは?
「いろいろなものを食べる大切さは伝えますが、無理に食べさせることはしません。中には、ふとしたことがきっかけで食べるようになる子もいます」(のりこ先生)
小さいころから「食べ物は身体を作っている」という栄養学的なことを、会話の中におりまぜていくことも大切。いつか本人が納得して「食べよう」という気持ちのきざしが見えてくるかもしれません。
「1歳の子どもに『がんばれ』は通用しません。3歳ぐらいになってから苦手なものも『ちょっぴり食べてみようね』と促すといいでしょう。パイオニアキッズでは食事は食堂で、丸いテーブルを囲んでいただきます。0歳さんは介助する職員が子どものすぐ横にいるので、すぐにサポートしています。食事をしながら他の子たちの様子も見えますから、刺激にもなっていることでしょう。ご家庭で同じような環境を作ることはできませんが、できるだけお母さん、お父さんもお子さんと一緒に食事をするようにしてみてもいいですね」(のりこ先生)
今は「STAY HOME」で、家にいる時間が増えた方もいらっしゃることでしょう。子どもとの時間が長くなり、ついイライラしたり、不安に襲われたりすることもあるけれど、もしかしたら、子どもの食習慣に向き合うチャンスかもしれません。(撮影・赤石雅紀)
パイオニアキッズつつじケ丘園
調布白雲福祉会が運営している、調布市の認可保育園です。つつじケ丘駅から徒歩3分という立地。建物は「おじいちゃん、おばあちゃんのおうち」をイメージした「和」の外装・内装。自然環境教育、食育にも力を入れています。