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「好きこそものの上手なれ」といいますが、子どもが「好き」なことを見つけたら、大人は精一杯「好き」を応援してあげたくなりますね。
調布市の認可保育園、パイオニアキッズ菊野台園では、「鳥」好きな子どもたちが急増中?クラスのみんなで野川の野鳥を見に行ったり、調べたりするうちに、すっかり「野鳥マニア」になっているとの情報が。
日頃何気なく見かけている「野鳥」。何がそんなに楽しいのかな?子どもたちは、どれほどハマっているのでしょう?
野鳥にハマった子どもたち
今回の取材では、「れいんぼーにんじゃ」(3歳から5歳までの子どもたちの異年齢クラスの1つ)さんにお邪魔しました。聞けばもう3年近く「鳥」をテーマに活動を続けているのだそう。鳥を探しに出かけては観察したり、調べたり、話し合ったりしています。
「園の近くを流れる野川へお散歩に出かけることが多いのですが、そのときに見かける野鳥に子どもたちが少しずつ関心を持つようになりました。『こんなとりがいたよ』という子どもたちの声を聞いて、私たち大人もとくに詳しくなかったので、図鑑で少し調べて『渡り鳥みたいよ』『水のキレイなところに住む鳥だって!』などと情報を提供しました。その繰り返しの中、子どもたちは少しずつ関心を深めていきました」
知りたい→調べる→興味が深まる
何はともあれ、今回も、子どもたちと半日一緒に過ごしてみることになりました。まずは定例の「サークルタイム」です。
先生「このあいだ調べたら、鳥には『りゅうちょう』と『ふゆどり』がいることがわかったよね」
子ども「うん!」
先生「じゃあ、どの鳥がりゅうちょうで、どの鳥がふゆどりか当ててくださ〜い」
子ども「は〜い!」(みんなノリノリ)
先生「では、この鳥は何ていう鳥かな?」(と、野鳥の写真カードを1枚見せる)
子ども「かるがも!」
先生「正解!では、かるがもはりゅうちょう?それともふゆどり?」
子どもたち「りゅうちょう!」(口々に)
先生「じゃあこの鳥は?」
子ども「コガモ!」
先生「正解!じゃあコガモは…どっちかな」
子どもたち「ふゆどり!」(一斉に)
同じカモでもカルガモは留鳥で、コガモは冬鳥なのだそう。こうして種類ごとに分類するのも、幼児期に楽しみながら体験できると、その後の学びにもきっといいことがありそうな気がします。ちなみに、オナガガモは冬鳥、マガモも冬鳥。冬の野川にはいろいろなカモたちが飛来してきているとのこと。
先生「じゃあ、これから野川に鳥を探しにでかけましょう!」
野鳥初心者の取材チームも、事前学習できたので、ちょっぴり楽しみになりました。
冬の柿 最後の1個は
保育園を出発して今日も野川へ向かいます。歩きはじめてしばらくすると、子どもたちが上を見上げて何か見つけた様子。葉っぱが落ちた枝だけの柿の木に1つだけ残っていた柿の実を、ムクドリが美味しそうに食べているではありませんか。
最後の1個にありつけたこのムクドリは、きっとラッキーなムクドリに違いありません。
「おいしそうだね〜」とみんなでしばし盛り上がりました。
ほどなく野川に到着…たくさんの鳩たちが飛んでいます。鳩にも「キジバト」と「ドバト」と種類があるのだそう。飛んでいる鳩はキジバトかしら?
コサギ…連載第1回の取材時に、「黄色い靴下を履いているのがコサギ」と子どもたちに教えてもらった、あのコサギですね!水面に佇んでいるので、「黄色い靴下」は見えないけれど。
さらに進むと、流れの幅が少し広いところで数羽のカモとコサギらしき白い鳥、そして羽を大きく広げてプルプルと小刻みに震わせている黒い鳥を発見!
先生「みんな〜、あそこにカワウさんがいるよ」
子ども「あ!ずっと羽をひろげたままだよ」
子ども「羽を(小さく)ずっと動かしているよ!」
子ども「わかった!羽をかわかしているんだ」
カワウは餌の魚を捕るために水中に潜ります。潜りやすいよう他の鳥とは違い、羽毛が油で覆われていません。一度もぐるとずぶ濡れになってしまうので、こうして大きく羽を広げて濡れた羽を乾かすのです。
そしてしばらく羽を震わせていましたが、やがて翼がすっかり乾いたのでしょう。バサバサっと大きな羽音を立てて飛んで行きました。
キセキレイ見つけた!
続いて出会ったのは「キセキレイ」です。グレーっぽいセキレイは、調布の町中でも見かけることがありますが(セグロセキレイ)、胸からお腹までがきれいな黄色のセキレイはなかなかお目にかかることはありません。
子ども「あ、キセキレイが飛んできた!」
子ども「え〜どこどこ?」
カモやサギとは違って、小さくほっそりしている鳥なので、草木が茂る野川の河川敷では少し見つけづらいのです。年少の子どもたちには見つけるのが一苦労かもしれません。けれどそこは年上の子どもたちが「ほら、あそこにいるよ」と教えている姿がありました。異年齢クラスは、子どもたちどうしがきょうだいのような感じでもあり、鳥のことに詳しいお兄さん、お姉さんたちが、年下の子どもたちを自然にリードしてくれています。
こちらには、たくさんのカモが!
子ども「マガモだ!」
子ども「あっちにいるのはコガモだよ」
子ども「カルガモがねているね」
子ども「えーと、これでカルガモは11羽め!」
先生「ここまでずっと数えてきたの?」
子ども「そうだよ!」
先生「コガモってどうやって見分けるんだっけ?」
子ども「赤いぼうしをかぶっていて、目のまわりが緑色なの」
先生「じゃあ、あれがコガモね!わかりやす〜い。教えてくれてありがとう」
先生にもわからないことがあって、子どもたちの方が詳しかったりするんですね(笑)。大人だって知らないこともあるし、忘れてしまうこともあって当然のこと。そんなやり取りも、子どもの豊かな心を育てているのだと感じました。
超難問!?野鳥の影絵クイズ
お散歩の最後は「影絵クイズ」です。鳥の写真カードを裏返すとその鳥のシルエットだけが描かれています。どれも野川で見ることができる野鳥なのだとか。
「これ、わかるかな?」と、先生がカードを1枚出すたびに「はい!」と手があがります。
子どもたちは「バン!」「オナガ!」「ユリカモメ!」「ハシボソガラス!」と次々に正解していきます。マニアックなラインナップのようですが、どれも野川周辺で見ることができる鳥だとは…知りませんでした。ユリカモメは野川の下流、多摩川近くで見られるのだそう。しかし、この影絵クイズは先生や取材チームの大人にとっては超難問。いつも見ているから覚えているのですね、子どもってすごい。
保育園への帰り道、ある男の子に「一番好きな鳥は?」と質問してみると…。
「カワセミ! 青くてキレイだから」
ある男の子はコサギの鳴き声を真似てくれました。それぞれ興味の持ち方は違うものの、野鳥の観察をそれぞれに楽しんでいることは間違いないと感じました。
「中には、すっかり鳥の魅力にハマってしまって、週末もご家族で野川へ出かけているという子もいるんですよ」と園長先生。
きっとみんなで調べた鳥のことを、お父さんやお母さんに教えてあげているのかもしれません。遠出をしなくても、身近に、こんなに楽しめる場所がありました。
子どもの「好き」を伸ばすのは、ちょっとした大人の関わりがあってこそ。それはもちろん「鳥」でなくてもいいのです。もしかしたら、お子さんは想定外のものに関心を持つかもしれません。それもまた、親子で楽しめたらいいですね。
子どもの興味関心が深まれば、自然と自ら考えるようになっていくに違いありません。まずは、わが子のちょっとした「好き」に気づいて、一緒に楽しみ、世界を広げてみてはいかがでしょう。
(撮影 赤石雅紀 取材・文 竹中裕子)
パイオニアキッズ菊野台園(ぱいおにあきっずきくのだいえん)
調布市菊野台の住宅街に立つ、認可保育園。乳児期から ニュージーランドの教育省から正式に許可を得て、ナショナルカリキュラム「テ・ファリキ」を活用し、自らの意志で遊びを決めてそれぞれの部屋へ行く「コーナー保育」や「異年齢保育」が行われています。また、北欧で盛んな「森の幼稚園」の概念も取り入れ、積極的に戸外活動を行っています。