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「育てる」こどもごはん

第6回
パイオニアキッズつつじケ丘園
「味わう」と「よく噛む」を育てる離乳食講座

2020年11月12日 公開

調布市の認可保育園では、地域で子育て中の人たちを対象に、講座やイベントなどさまざまな地域交流事業を実施中。市内5カ所に認可保育園を運営している「パイオニアキッズ」でも行っていて、各園の栄養士さんたちがオリジナルのテキストを作成している「離乳食セミナー」が人気です(2020年はコロナの影響で実施できていません)。

 

一般的には生後5カ月ごろから始める離乳食は。思うように食べてくれなかったり、段階がなかなか進まなかったりと悩ましいものですね。そこで、今回このコラムではパイオニアキッズの離乳食セミナーから、大切なポイントをピックアップしてご紹介します。

 

離乳食は「美味しくない」?

離乳食とは「これまで母乳やミルクで成長してきた赤ちゃんが、いろいろな食べ物に慣れ、形のあるものを噛みつぶせるようになり、上手に食べられるようにする食事の練習」(パイオニアキッズ離乳食セミナー専用テキストより引用)です。そして、とくに大切にしたいのは「赤ちゃんの味覚」なのだそう。

 

「離乳食は塩などを加えず素材そのままの味なので、大人にとっては『美味しくない』もの。お母さんたちは、美味しくしてあげたいという気持ちから、つい塩分を足してしまうこともあるようです。でも、赤ちゃんにとってはほんの少しの塩分でも味が濃すぎるのです。パイオニアキッズの離乳食セミナーでは、実際に参加してくださった方たちに離乳食の味を体験してもらっていますが、『味がしない』と驚く方が多いんですよ」(管理栄養士・めぐみ先生)

 

大人にとって「味が薄くて美味しくない」と感じるようなものは、赤ちゃんにとっても美味しくないのでは?と思ってしまいますね…。

 

「大人の舌と子どもの舌は違います。大人は赤ちゃん時代を経て味覚ができあがっていますが、赤ちゃんは味覚が育ち始めたばかりの時期で、舌の感覚はとても繊細。だからこそ、味覚は少しずつ、じわじわと育てていくことが大事だと考えています。保育園では、お米や野菜スープ、だしといったソフトな味からゆっくりと慣らしていきます。そうすることで微細な味の変化を感じられる味覚が育っていくのです。乳幼児期に濃い味を体験してしまうと、薄味への後戻りはとても難しい。幼少期から濃い味を食べ続けていけば、生活習慣病のリスクも高まりますから、やはり味付けは慎重にしてほしいなと思います。味覚は、乳幼児期の舌が敏感な時期にいろいろな食材や味を経験することで育ち、定着していくもの。セミナーでは鰹や昆布、いりこなどでとった出汁だけで食材の旨味を引き出し(※)、赤ちゃんにとって美味しく仕上がることもお伝えしています」(めぐみ先生)

※パイオニアキッズでは、離乳食の初期・中期までの出汁は昆布のみ。後期食は昆布とカツオ、完了食で昆布、鰹、いりこ出汁を使っています。

「噛む」「飲み込む」トレーニング

せっかく作った離乳食を食べてくれない理由はいろいろあります。たとえば濃い味を知ってしまい、薄味の離乳食を食べたがらないこともあるでしょう。また、センサーが敏感だからこそ、ちょっとした口当たり、舌触りがいやで食べてくれないこともあるでしょう。

離乳食は成長発達に応じて調理の仕方を少しずつ変えていく必要があります。

 

初期食 (生後5〜6カ月ごろ)
赤ちゃんの食べ方:舌の前後運動。お粥なら10倍粥、野菜ならなめらかなペースト状のものを用意します。

 

中期食(生後7〜8カ月ごろ)
赤ちゃんの食べ方:舌を上下に動かし、舌と上顎でつぶして食べる。「もぐもぐ」と口を動かす。お粥なら7倍粥、野菜などは舌で潰せる硬さ(豆腐が目安)に。

 

 

後期食(生後9〜11カ月ごろ)
赤ちゃんの食べ方:舌を左右に動かし、舌で食べ物を移動させて歯茎で噛むようになる。お粥なら5倍粥、歯茎で潰せる硬さ(指で潰せるバナナが目安)に。

 

完了食(生後12〜18カ月ごろ)
赤ちゃんの食べ方:口をもぐもぐさせて食べる(咀嚼機能の基礎ができている)。軟飯から普通のご飯へ。前歯で切れる硬さ(肉団子ぐらい目安)に。

 

「丁寧に段階を追って調理法を変えていくことは、子どもの咀嚼や嚥下という機能を、少しずつ段階を追ってトレーニングしているというイメージでしょうか。スポーツジムに入っていきなりハードなトレーニングをするのは無理ですよね。離乳食も同じことなのです」(めぐみさん)

 

咀嚼や嚥下をしっかりトレーニングできていないと、何が問題になるのでしょう。

「たとえばよく噛まずに飲み込む習慣がついてしまうと、いわゆる『ドカ食い』になり、必要量以上に食べてしまいます。ご家庭でたくさん食べるお子さんは、保育園の食事量を少ないと感じるかもしれませんが、だからといってその子が満足するだけの量を食べると、明らかにカロリーオーバーになってしまいます。よく噛んで食べると、食事の量も適正になっていきます」(めぐみさん)

 

口の動かし方が少しずつ発達していく段階に合わせた食材を、しっかりと食べさせてあげることで、よく噛み、しっかり飲み込めるようになるのですね。

「離乳食の初期・中期ごろまでは専用のスプーンを使っています。口当たりがソフトで、少し平らになっているのですくえる量が少なめに調整できて便利です。与えるときはスプーンを下唇にそっと乗せて上唇が開くのを待ちます。上唇で食べ物を取り込むのを待ってから、スプーンをゆっくり水平に引き出します。スプーンは口の真ん中より奥には入れないように気をつけてくださいね」

実際に食べてみる

パイオニアキッズつつじケ丘園では、毎日の給食を「検食」しています。担当はのりこ先生。離乳食から幼児食まですべて確かめ、味や調理法などが適切かどうか、しっかりと確認しているのです。

「離乳食は初期、中期…と段階に応じて作りますので、それぞれの時期の『口の動かし方』で検食します。たとえば舌と上顎で潰せるかな…と一つ一つ確認しています。歯で噛んでしまうと硬さがわかりませんからね」(のりこ先生)

 

▲成長段階ごとに口の動かし方を変えて検食します。

食べたがらない理由が、実は潰し方やちょっとした口当たり(水分量など)だということがわかれば、次につながりますね。

 

よくある質問

最後に、実際の離乳食セミナーに寄せられる質問と、めぐみ先生のお答えをご紹介します。

 

Q バナナが大好きで、他のものをあまり食べてくれません。

A バナナは甘くて美味しいし、お子さんが好きなのであればそれはそのままでよいと思います。離乳食には基本的な進め方はありますが、すべてその通りにやらなくてもいいのです。離乳食は食べることも大事ですが、あくまでも練習でやっていることなので、焦らなくても大丈夫です。とはいえ、毎日、少しずつ、一口ずつ食材を試し、食材を体験しておいたほうがいいでしょう。保育園などに預ける際に、未摂取の食材は少ないほうがよいからです。

 

Q 離乳食の量は(こんなに)少なくてもいいのですか?

A 保育園の給食の量を見て、寄せられた質問です。ご家庭ではもっとたくさん食べているというお子さんの場合、咀嚼が十分ではないことがよくあります。しっかり噛むことができていれば、たくさん食べなくてもいいのです。完了食までにしっかりと量が食べられるようになっていれば十分です。

 

離乳食は食べる練習。味覚や咀嚼力を育てるために、少しずつ丁寧に進めていけたらいいですね。

▲取材でたくさんお世話になっためぐみ先生(左)とのりこ先生(右)
執筆者 パイオニアキッズつつじケ丘園

パイオニアキッズつつじケ丘園

調布白雲福祉会が運営している、調布市の認可保育園です。つつじケ丘駅から徒歩3分という立地。建物は「おじいちゃん、おばあちゃんのおうち」をイメージした「和」の外装・内装。自然環境教育、食育にも力を入れています。

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