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子育てお悩み相談室

第22回
「学校に行きたくない」と言われたら(前編)

2020年7月28日 公開

新型コロナウイルス感染症による休校が明けてから、「子どもが学校に行きたがらない」という声を身近で聞くようになりました。登校しぶりや不登校などの悩みを抱えている子どもや保護者は、どのような支援を受けられるのでしょうか。調布市で教育相談事業に携わっている調布市教育委員会指導室の皆さんに伺いました。

 

<調布市教育委員会指導室の皆さん>
教育支援担当課長兼教育相談所長 小山暢子さん
指導室副主幹 坂口昇平さん
教育支援コーディネーター 藤倉正道さん
教育支援担当指導主事 西川諭さん
教育支援係主事 大久保守秀さん

 

子どもの発達や教育に関するどんなことでも相談できる!
「教育相談所」はこんなところ

学校のことや子どもの発達のことで困ったとき、調布市の相談窓口として「教育相談所」があります。

 

「教育相談所は、3歳から18歳くらいまでのお子さんに関する悩みや心配ごとについての相談をお受けしています。相談の種類は大きく分けて3つ。1つ目は電話相談で、匿名での相談もできます。2つ目は来所相談で、お子さんと保護者に来ていただいて面談します。相談内容は学校や家庭内のこと、子育ての悩みや発達についてなど多種多様で、教育相談心理職専門員による面談や遊びを通じてお子さんの心をほぐしていくプレイセラピーも行っています。3つ目は就学相談で、特別支援学校・学級への就学や転学、校内通級教室への入級などの相談に応じています」(大久保さん)

 

「たとえば『給食を食べられなくて泣いてしまったため学校に行きづらくなったけれど誰に相談したらいいか』とか『困っているけれど担任の先生には言いにくい』など、学校に言いづらいことは匿名の電話で相談することができます。その場合こちらからは状況に応じて具体的な方法を提案しますし、より深い話が必要だと思われるケースでは教育支援コーディネーターへの相談を促すこともあります。もちろん来所による対面相談もできますし『そもそもどこに相談していいか分からない』『こんなことを相談してもいいの?』という問い合わせも遠慮なく、気軽にご利用いただきたいと思っています」(小山さん)

調布市教育委員会指導室の皆さん
左から坂口さん、西川さん、藤倉さん、大久保さん。

 

「学校には知られたくない」ことも相談できる

匿名の電話相談ができるとはいえ、最初は電話をかけるだけでもドキドキするし、家庭内のことや不登校について相談するのは恥ずかしいとか、相談したことが学校に知られてしまうのではないかと心配して相談に踏み切れない人もいるはず。秘密は守られるのでしょうか。

 

「電話相談や来所相談の際に、学校には伏せて欲しいということであれば、学校には分からないようアプローチします。とはいえ問題解決のためにどうしても学校との連携が必要になることもあるので、そのときには協力をお願いするかもしれません。もちろん、その場合は必ず相談者の意思を最優先しながら慎重に進めます。困りごとを解決するために、具体的にどのような方法があるかをご説明し、納得していただいたうえで進めます」(坂口さん)

 

「件数は多くありませんが、お子さんからの電話相談もあります。最近では小学校低学年のお子さんから『自分の考え方は人と違っているのではないか』という電話相談があり、教育相談心理職専門員が対応したことがありました」(大久保さん)

 

性の多様性など親に言いにくい悩みを抱えている子もいます。子どもが1人で何か悩んでいるようだったら「ここに相談してみたら?」という声掛けができますね。

調布市教育相談所だより
学校で配布された相談先の資料。子ども向けの案内もあります。

 

組織改編で支援体制がパワーアップ

調布市では令和2年度から「教育相談所」と「教育支援コーディネーター室」が統合され「教育支援係」ができたとのこと。これにより、さまざまな相談にワンストップで対応できるようになりました。具体的には何がどのように充実したのでしょう。

 

「たとえば『就学相談』の場合、これまでは就学先が決まると相談はそこで終了していました。しかし、新たに『教育支援係』ができたことにより、就学時だけでなく入学後の課題や相談についても継続して支援できるようになりました。関連する行政機関や場合によっては『ここあ』などの外部機関とも連携して、子どもたちの社会的自立に向けて継続的に支えていくことが可能になりました」(小山さん)

 

「私は教育支援コーディネーターとして相談業務を行っていますが、相談の多くは不登校に関するものです。保護者の養育不安、進路や転校の相談などもありますし『まずは話を聞いてもらいたい』という方もいらっしゃいます。保護者から電話相談があり、その後お子さんと一緒に来所していただき、詳しく話を聞きながら相談に乗ることが多いです。教育支援コーディネーターは家庭や学校を支援し、必要に応じてスクールソーシャルワーカーが福祉的な観点から解決策を探っていくなど、個別に対応しています」(藤倉さん)

教育相談所

 

一人ひとりの子どもに寄り添う支援を目指す

たとえば学校の授業について行けなくて困っている場合、実はその背景にその子の発達特性などが関係している場合もあると聞きます。そのような場合、相談や支援はどのように行われているのでしょうか。

 

「授業についていけないといっても理由はいろいろあります。友だちとの関係がうまくいかなくて勉強に支障が出ることもあれば、家庭内に何か事情があることもありますし、その子の特性(たとえば学習障害など)が関係していることもあります。原因を見極めるために、まずはじっくりお話を伺い、場合によっては実際に学校での様子を見せてもらったりして解決の糸口を探っていきます」(藤倉さん)

 

学習障害などの特性が見られるお子さんについて、学校での対応が行き届かないという実態もあるとか。学校現場も忙しい中での対応だとは思いますが、子どもの学ぶ権利を守るために、調布市ではどのような取り組みがあるのでしょう。

 

「調布市としては積極的にそれぞれの子どもの特性に合わせた対応(合理的配慮)を行うよう各学校に働きかけています。校内通級教室による指導でも通常の学級でも、学校がそのお子さんの状況を正しく理解して適切な支援をしているか確認し、足りないところがあれば指導やサポートを行います。ただ、発達障害については、まだ現場の理解が十分とは言えないところもあるかもしれません。

 

たとえば、市内でも学習障害への対応として既にタブレットやキーボードを導入している事例はあります。もし、前例が無いなどの理由で対応してもらいにくいと感じたら、ぜひ教育相談所や教育委員会指導室に直接ご連絡ください。何より大切なことは、子どもたちに不利益があってはならないということ。私たちに相談することによって学校で気まずくなるような対応はしません。学校の先生や保護者と一緒に、その子にとって何が必要なのかを見極めて対応していきます」(西川さん)

調布市教育会館, 調布市教育相談所
教育相談所は調布市教育会館の中にあります。

 

気になったら、なるべく早い段階で相談を

子どもの様子で少しでも気になることがあったとき、早めに相談や支援とつながることも大事だといいます。

 

「たとえば自閉スペクトラム症が見られるお子さんの場合、早い時期から校内通級教室などで人との付き合い方などを専門的に指導してもらったりして適切な対応ができていると、その後の学校生活が比較的スムーズになることもあります。実際、自閉スペクトラム症だと気づかないまま過ごし、思春期を迎えてから『人と会うのが怖い』と不登校になったケースもあります。そういう意味でも、少しでも気になることがあれば、ぜひご相談いただけたらと思います。必要があれば医療機関での診察を提案したり、校内通級教室を検討する場合には教育相談所の教育相談心理職専門員を紹介したりして、そのお子さんに何が必要かを考え支援します」(藤倉さん)

 

「教育相談心理職専門員との面談によって特性を正しく理解して、お子さんが学校で過ごしやすくなるように働きかけることができます。組織改編により、そうした連携や支援がスムーズに行えるようになりました」(小山さん)

 

 

実はすごく気軽に相談できるという教育相談所。相談窓口では専門家が丁寧に話を聞き取り、さまざまな支援にもつなげてくれる心強い機関だということが分かりました。

 

さて、後編はいよいよ本題! わが子が登校しぶりや不登校になってしまったら一体どうしたらいいのでしょう!?

教育相談所
調布市教育委員会指導室の皆さん。写真撮影時のみマスクを外していただきました。

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