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離乳食って難しい…?せっかく作っても食べてくれなかったり、食べ物で遊んで終わってしまったり。思うように進まずイライラすることもありますね。
保育園では、乳児期から子どもを預かっているので、給食の時間にはそれぞれの発達段階に合った離乳食を提供しています。そこにはさまざまな知恵と経験の蓄積が!本コラムでは、調布市の認可保育園「パイオニアキッズつつじケ丘園」で提供されている離乳食をご紹介します。
パイオニアキッズの給食は「和食」です。幼児食は一汁三菜。魚をメインに季節の野菜を取り入れたメニューが提供されています。調理室では栄養士さんを始めとするスタッフのみなさんが調理の真っ最中でした。
この日の幼児食メニューは次のとおり。
- カレイの昆布蒸し
- 切り干し大根と豚肉の炒め煮
- ピーマンとじゃがいもの炒めもの
- ナス、舞茸、油揚げの合わせ味噌汁
- フルーツ
かれいの昆布蒸しは昆布の旨味がたっぷり染み込んだ味わい深い一品。魚が中心ですが、副菜には肉もしっかり入っています。野菜もたっぷりで色どりもバランスにも配慮した献立です。蒸しに使った昆布は、おやつのおにぎりの具になるとのこと。フードロスに配慮してのことですが、実はこの「昆布おにぎり」が子どもたちには大人気!魚の旨味がうつった昆布のおにぎりは絶品…に違いありません。
食材の「つぶし方」が大事
「離乳食は幼児食で使う食材から取り分けて調理、提供しています。大きく分けると生後5〜6カ月ごろからの初期、7〜8カ月ごろの中期、9〜11カ月ごろの後期、そして12〜18カ月ごろの完了期の4段階で、調理法は違います」(管理栄養士・めぐみさん)
離乳食は口当たりが悪いと、赤ちゃんが食べてくれないことが多いのだそう。ご家庭でもお口にいれたら「べーっ」と出したりすることがありますね。「美味しくないのかな?」と悲しくなった人も多いのでは?でも、実はそういうことでもなさそうです。
「口に入れて『噛めないな』、『飲み込めないな』と子ども自身が判断すると、ベーっと出します。美味しくないというサインではないと思いますよ。この子には少し硬かいのかもしれない…と感じたら、もう少しつぶしてあげてみてください。保育園では、その子にとって食べやすい硬さ、口当たりだと、すんなり食べてくれることが多いです」(めぐみさん)
つまり、食べてくれるかどうかは「つぶし方」にもよるということですね!
調理の目安
具体的にはどの時期にどのようなつぶし方がよいのでしょう。調理の目安を教えていただきました。
【初期】 うらごしをして、繊維を取る。(ごはんは10倍がゆ)この日のレシピはこちら(別ページが開きます)。
【中期】 うらごしはしないが、しっかりつぶす。(ごはんは7倍がゆ) この日のレシピはこちら(別ページが開きます)
【後期】 野菜などは1センチ角程度に切って柔らかく煮る。(ごはんは5倍がゆ)この日のレシピはこちら(別ページが開きます)
【完了期】 幼児食に近いが、きのこやこんにゃくなど消化しづらいものは使わない。ごぼうなどは幼児食よりも柔らかく煮る。(ごはんは軟飯) この日のレシピはこちら(別ページが開きます)
あくまでも目安です。たとえば初期から中期にかけては、初期の離乳食に少し粒状の状態を残したものにすると移行がスムーズなのだそう。急に段階を上げるのではなく、「流れるように」が大事だと教えていただきました。
手づかみが育てる「食べたい気持ち」
さあ、いよいよ食事の時間です。パイオニアキッズの給食は、すべての園児さんが食堂に集い、楽しくいただきます。離乳食チームも手をしっかり洗って食卓につきました。
身体に合った椅子に座ると足がしっかり床につくので、背筋が自然にピンと伸びます。そして…先生がすぐ隣に座ってお世話をしているのですが、子どもたちは手づかみでどんどん食べ始めます!おかゆ、汁物…手触りを感じて、指先でつまんだり握ったり…そして口へ。その表情は真剣そのもの。
「手づかみ食べが大事」らしいと聞いてはいるものの、家庭だと「汚れるから…」と、つい親がスプーンで食べさせがち。しかし、離乳食中期ごろからは「手づかみ」食べをするメリットがたくさんあるといいます。
「(保育園では、保育士が)スプーンで食べさせるのは初期までで、中期ごろからは『自分でやりたい』気持ちを尊重しています。手づかみ食べは、食べ物を目で確かめ、手でつかんで口まで運び、口に入れるという目と口と手の協調運動です。手でつかみ、口に入れる動作は手首を手前にクルッと回す運動なのです。これができるようになると、スプーンやフォーク、お箸も上手に使えるようになっていきます」(のりこ先生)
食べ物をじーっと見て手を伸ばし、何か確かめるような動作があって、それからおもむろに口へと運び、口を動かす…。子どもたちはそれぞれのペースがありますから、口に入れるまでには時間がかかることもあります。大人の感覚だと「遊んでいるだけ」にも見えてしまうかもしれません。
この日も、うまく口に運べないとそのままぐちゃぐちゃするだけという場面もありました。すべては体験。トライ&エラーを繰り返しながらも自分の力で食べることで、美味しいと感じ、食べる楽しみを感じていくのかもしれません。
美味しく、楽しく食べる食卓
パイオニアキッズの食堂はいろいろな年齢の子どもたちが一緒に丸いテーブルを囲みます。お兄さん、お姉さんたちが食べている様子を見るのもまた、離乳食期の子どもたちには刺激的。
離乳食を楽しく食べるコツって何でしょう。
「大切にしているのは会話…かしら。『今日は人参だね〜』とか『嫌いだったかな〜、じゃあこっちにしようか』とか。もちろん一方的な声がけにはなりがちですが、とにかく顔を見て話しかけ、口の動きを見ています。あまり食べてくれないときも、無理矢理口に入れるということはしません。案外、間をおくと食べたりするんですよね(笑)」(のりこ先生)
「小松菜だよ」
「もぐもぐね」
「これはどうかな?」
楽しい雰囲気の中で食べるから美味しいし、「やりたい」気持ちが大切にされているから楽しいのです。
舌が敏感だから、薄味でも「美味しい」
パイオニアキッズの離乳食では、後期食に入ってから調味料を使い始めます。使うのは「味噌」と「醤油」のみ(いずれも小麦不使用)で、いずれも微量です。子どもは薄味がいいとは知っていても、果たして本当に美味しいのか、気になります。
「乳幼児期の子どもの舌は敏感です。パイオニアキッズでは味覚を育てるという意味でも薄味を徹底しています。舌が一番敏感な乳幼児期に、いろいろな食材や味を経験することで、味覚が育っていくと考えているからです」(めぐみさん)
味覚が敏感な時期にいろいろな味を体験することで、微妙な味わいや美味しさもわかるようになっていくのかもしれません。
「保育園の日々の中で、離乳食でいろいろな食材をしっかり食べていると、幼児期になってから、好き嫌いが少ない傾向があるように感じています」(めぐみさん)
保育園と同じようにとはいかないかもしれませんが、ぜひパイオニアキッズの離乳食レシピ(初期・中期 後期・完了期)も参考に、ご家庭で作ってみてくださいね。
パイオニアキッズでは、地域交流事業の一環で離乳食講座を実施しています。詳しくは調布市報をご確認ください。参加すると栄養士さんたちが作った、手作り冊子がもらえます!
保育園の給食は、家庭での献立作りの参考にもなりますね。次回は季節や行事なども意識した、食文化を感じられる保育園の献立や工夫についてご紹介します。こちらもどうぞお楽しみに。
パイオニアキッズつつじケ丘園
調布白雲福祉会が運営している、調布市の認可保育園です。つつじケ丘駅から徒歩3分という立地。建物は「おじいちゃん、おばあちゃんのおうち」をイメージした「和」の外装・内装。自然環境教育、食育にも力を入れています。