調布市菊野台の閑静な住宅街に囲まれて立つ、周辺の住宅と違和感なく馴染む木をふんだんに使った建物。控えめな「パイオニアキッズ」という看板から、そこが保育園だとわかります。
玄関を入ると、落ち着いた色味のフローリング、木をふんだんに使ったインテリア、大きな窓からは暖かい光が室内に差し込みます。なんて気持ちがいいのでしょう。「私もこんな素敵なお部屋で暮らしたい…」思わずつぶやくと、
「私も、いつもそう思っているんですよ(笑)」
と運営団体の社会福祉法人調布白雲福祉会理事長の宮武慎一さん。
「子どもたちの生活の場ですからね。何がベストかを考えながら作ったらこうなったんです」
その子がその子らしくいられる保育園
お邪魔した時間は、ちょうどおやつの準備をしている真っ最中。園庭にしつらえたかまどで火を起こし、子どもたちもいっしょに味噌汁づくりが始まったところです。
「ご近所のみなさんが、私たちの保育園の活動を理解してくださっているから、できることです。もちろん、かまどで火を焚くときは必ず事前にご連絡を差し上げています」
炭で起こした火に大きな鍋をしかけてグツグツ。周りを子どもたちが取り囲み、出来上がりを待っています。出来上がるまでの時間もまたお楽しみ。
「火が燃えているよ」
「もっとあおいで!」
「おいしそう!」
わくわくしている様子が伝わってきます。
「私たちが運営している保育園では『その子がその子らしくある場所であること』を大切にしています。型にはめるのではなく、その子が好きなことを見つけられる場でありたいと思っています」
ここパイオニアキッズ菊野台園では、0歳から2歳までの乳幼児は年齢別にコーナー保育などを取り入れて「個」としてのその子らしさを引き出していますが、3歳から5歳までの子どもたちは異年齢のグループで活動しています。その幼児期の活動の基盤となるのが、オランダの「イエナプラン教育」です。
「3歳以降になると集団の中で、友だちと関わり合う中でも自分らしさを発揮する段階に入ります。そんな子どもたちの主体性をはぐくむ教育メソッドとして、保育にイエナプランの考え方を一部取り入れています。たとえば『大人も子どもも対等に、みんなで考える』というスタイルを導入し、そこからパイオニアキッズならではの保育スタイルが作られているのです」
活動の導入部分は大人が、その後の展開は大人も子どもも一緒に考えて進めていくスタイルがパイオニアキッズ流。たとえば一週間の計画をまずは子どもたちの声から拾い上げてテーマを決め、子どもとともに作り上げていきます。
「掃除でも環境教育でもお仕着せではなく、自分たちがそこに興味を持ってどう関わっていくのかが大切です。ともに作っていくというスタイルを取り入れることで、子どもは自然と主体的に、率先して関わっていくようになります。また、異年齢の子どもたちによって構成されているグループなので年長児が年下の子どもたちの間違いを修正したり、お世話をしたり。案外その逆もあったりして(笑)。子ども同士の交流も深まります」
それぞれの「好き」や「得意」を活かせる職場
お仕着せのカリキュラムではない、自発的に日々作っていく保育。
そんな現場に関わる保育士の佐藤佳那美さんは、現在幼児グループを担当しています。
「保育士9年目ですが、ここで働いていると日々学ぶことが多くて本当に楽しいです。研修も充実していて、学びが多い職場でもあります。海外にはイタリア、オランダ、ニュージーランドへ行かせてもらいました。それぞれの保育の現場を見せてもらい『ああ、こういう方法もあるのかと』たくさん気付かされました。だから、もちろん、まったく同じように取り入れることはできませんが、パイオニアキッズでできることは何だろう、よりよい形で保育に取り入れていくにはどうしたらいいかを、スタッフに投げかけ、みんなで考えています」
スタッフが自分の意見を出しやすい雰囲気も魅力。パイオニアキッズでは社員とパートの壁もないと宮武さんは話します。
「社員だという理由で、年上のパートさんに上から指示するような…そんなムードはどうしても違和感があります。子どもたちにもそんな様子は見せたくないというか。お互いを尊重しあえる職場づくりを通して、働きやすいと感じてほしいと思っています。実際うちには71歳男性の保育士もいるんですよ。山が大好きで、彼が入ってからは毎年、高尾山まで遠足に出かけるようになりました」
「うちの園では、それぞれが自分の『得意』や『好き』が活かせるところもありがたいと思っています。私はピアノが大好きなので、いつもピアノは私の担当。運動したり絵を描いたりするのは今ひとつなので、他の人にフォローしてもらったり。運動好きなスタッフは暑かろうが寒かろうが外で元気いっぱい、子どもたちと遊んでいます。ちょっと草花に詳しいとか、絵を描くのが好きとか、そういうことで十分。お互いが好きなことをやることで、結果としてうまく分担できていると思います」(佐藤さん)
苦手な人に無理強いはしないという姿勢も、新鮮ですね!自由遊びの時間に佐藤さんが大好きなピアノを弾いていると、自然と子どもたちが集まってくることもあるそう。耳で覚えたメロディーを弾いてみようとする子どももいて、そこからピアノのレッスンに通い始めたというエピソードもあるそう。先生が楽しそうに弾いていれば、その姿は子どもの目にも魅力的に映るのかもしれません。
さあ、そろそろ味噌汁も完成しておやつの時間。丁寧に出汁をとって作った野菜たっぷりの味噌汁。ちょっと寒いかなと思える園庭ですが、子どもたちはホカホカの味噌汁とおにぎりを美味しそうに食べています。お昼寝から起きてきたのでしょうか、可愛らしい1歳児さんたちも食堂にやってきました。
お互いを尊重し、支え合う
建物の2Fはグループのスペースが3つ。それぞれのグループの個性があって、見ていて飽きません。あるグループの部屋では、先生たちが打ち合わせ中。
「やっぱり実がなる木が園庭にあるといいよね〜」
「みかんとか柿とかがいいなあ」
そんな楽しそうな会話からも、もちろん子どもたちのことを思う気持ちが溢れています。「この職場では人間関係に苦労したことがない」という佐藤さん。互いを尊重し、支え合うムードがあればこそなのでしょう。
取材した日、佐藤さんのグループでは、「光」をテーマに活動中。園長先生の発案でしたが、子どもたちといろいろ調べたり、電車に乗って調布まで出かけて、光をテーマにした展覧会を見に行ったり、いろいろなものに光を当てて観察したり。
「子どもたちとたくさん話し合って、一緒に調べたり、何かを作ったりするのは、本当に楽しいです。先生だからといって何でも知っているわけではありませんから、知らないことは一緒に調べればいいと思います」(佐藤さん)
子どもたちの姿から学ぶことも多いという佐藤さん。
「日頃の研修でも、いろいろなテーマで学ばせてもらっています。どれも今日からの保育に役立つものばかり。だからすごく興味が持てるんです。働きながら勉強する機会をもらえるなんて、とても恵まれていると思います」
●求人情報
雇用形態 パート
職種 保育士
勤務時間 8:00~12:00または12:00~18:00他
時間は応相談 週3日から
給与 時給1000円
休日 日曜日・祝日
待遇 交通費1万円まで支給/月
勤務地 パイオニアキッズ菊野台園(調布市菊野台3-26-7)
パイオニアキッズつつじケ丘園(調布市東つつじケ丘2-4-4)
パイオニアキッズ仙川園(調布市若葉町1-27-31)
プレイセンターちょうふ(調布市布田4-17-10 セントラルレジデンス2F)
応募方法 下記リンク(ちょうふどっとこむ求人ページ)よりご覧ください。
パイオニアキッズ菊野台園
パイオニアキッズつつじケ丘園
パイオニアキッズ仙川園
プレイセンターちょうふ
社会福祉法人 調布白雲福祉会